とある港町を歩いていると「婦人直売店」という看板を見つけてしまった。
婦人、直売店。
そんなの直売していいのだろうか、しかもコカコーラの提供で。真相を確かめるべく、踏み込んでみました。
(安藤 昌教)
本当はキャンプを見に来たのですが
とある港町。今日はここでキャンプをはっているという韓国のプロ野球チームを見に来たわけだが、実はまだ始まっていないということを来てから知った。沖縄県内は一斉にプロ野球チームがキャンプインしているはずなのだが、韓国チームだけは時間差でやってくるのだ。みなさんも気をつけてほしい。
しかしせっかく遠くまで来たので、ということで町を散策してみることにした。そうしたらこれが実に趣のある町だった。
怪しい場所を発見
そんな趣のある港町の一角に、いきなり有刺鉄線で囲まれた地域を発見した。金網の向こう側ではおじさんたちが黙々と木箱とかを運んでいる。なんだろう、このアンタッチャブルな雰囲気は。どこかに情報の一つでも落ちていないものかとフェンスに沿って歩いていると、突如として巨大な看板に行き当たった。
石川市漁業婦人直売店。
婦人、売っているのだろうか。
前かがみで敷地沿いを歩いていくと、無防備に開いたフェンスの切れ間から内部に進入することができた。ふとこの前のアメリカで叱られたことを思い出す。立ち入り禁止とか撮影禁止とか書かれていないことを確認し、緊張しながら角を曲がるとなぜかのぼりが立っているではないか。
かに。
かに?そしてのぼりの奥には食堂と書かれた扉が。婦人を直売する前に腹ごしらえでもしろというのだろうか。
食堂でした
実はこれこそが婦人直売店の正体だったのでした。
回りくどい紹介で申し訳ありません。でもこの食堂の食事がまたすごいことになっていたのでもうちょっとお付き合い下さい。いよいよ店内に入ります。
のれんをくぐるとオリオンビールの自販機、そしてカウンターの横にテレビと亀の剥製。こういうプレハブっぽい作りの食事どころは沖縄にはたくさんあるのだが、経験上、こういう店に限ってうまいのだ。
まずはレジ横に積まれたてんぷらをつまみながら様子をうかがうことにした。店内では数人の従業員が忙しそうに動き回っているが確かに全員婦人だ。あ、いや一人だけおじさんもいた。
すごく聞き辛かったのだが、一応念のためレジ係りのご婦人に聞いてみた。
あの、婦人直売店っていうのは漁師さんの奥さんが営業されているということですか
「ええそうですが。」
冗談の通じなさそうな感じのご婦人だったので「婦人を売ってるかと思いましたよ、あはは」とか聞けなかった。婦人直売店というのは漁協の婦人部の方々が営業している店舗だとのことです。
「本日のお勧め」と書かれたカニ汁とにぎり寿司定食を注文してみた。1000円。メニューは沖縄そばや魚汁など、沖縄の定食屋で普通に見られるラインナップだった。
しかししばらくして、すごいのがやってきた。
カニ、乱れ盛り
とにかくカニ汁の盛られっぷりがすごい。
数えたらカニが丸ごと3杯入っていた。盛れるだけ盛った感じだ。
正気に戻りカニ汁に手を付けてみる。カニは骨格の隙間隙間にみっしりと身が詰まっていて、実に食べ応えがある。しかし食べ応えありすぎて無限にカニが続くような気にもなる。味はもう言うまでもなくうまかったです。
安心してお寄り下さい
婦人直売店は、婦人が直売されているわけではなく、婦人の方々が直売している店でした。しかしこのがっかり感を塗りつぶす勢いのメニューがとにかくすごいので、韓国チームのキャンプを見学しがてらぜひ婦人直売店へお寄りください。
石川市漁業婦人直売店
〒904-1104沖縄県うるま市石川石崎2-1
電話098-965-3357
営業時間11:00〜19:00(月曜定休)