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ひらめきの月曜日
 
蛇腹のエレベーターに萌えた日

次は神戸にジャンプ!

京都の素敵なレストランを後にし、一路神戸へ。フットワーク軽く原稿をお届けします。別々の取材日程のものを編集でつなげたように思われるかもしれないが、この日は本当に京都からとんぼ帰りで神戸に来た。この間1時間半程度である。

神戸・旧居留地、商船三井ビルディング

制作上の内輪話はさておき、神戸の旧居留地は古くから開港されていたため、大正から昭和初期に建てられた洋館が多い。(横浜と同じ理由ですね)その中のひとつ、商船三井ビルディングにも蛇腹のエレベーターがある。


(写真左)蛇腹のエレベーター、正面(写真右)エレベーター内部

建物には4台のエレベーターがあり、そのうち1台だけが当時と同じエレベーターである。(あとは新しいものに付け替えてしまった)1台だけでも保存しようと提案した当時の人に感謝したい。古い建造物は重宝されて保存されるのに、古いエレベーターは撤去されてしまう。そんな風潮があるように思うが、日本に数えるほどしかない蛇腹エレベーターは絶滅危惧種として大事に扱っていただきたい。

そんなことを部外者としては思うのですが実際の管理は大変でしょうね。どうか、これからもこのエレベーターを大事にしていってもらいたいです。

蛇腹!


さきほどのエレベーターと趣が違うのが分かるだろうか

もちろんこのエレベーターも現役で動いている。しかし、このエレベーターは現在では荷物用のエレベーターになってしまったそうだ。引っ越しとか、事務所移転とか、そういった用途のためだけに動くエレベーター。だから、図書館の古い本がおいてある場所のような臭い(悪く書けば埃っぽい臭い)がした。でも、僕の今立っている場所が80年前と確かにつながっていることを深く感じた。

老いは怖いことではない。そんな哲学も古いエレベーターは教えてくれる。

 

はじめて入ったエレベーターの機械室

初めて入った機械室

所有者のご厚意でエレベーターの機械室に入れさせてもらった。一般の人は入場禁止。撮影や取材等でもここを見せることはできないらしい。

そんな場所で発見したのは、先ほどの蛇腹エレべ―ターを動かしている機械。エレベーターのカゴが身体ならここは頭脳にあたる場所だ。

現在のエレベーターの機械はこれの1/4以下の大きさになっている。小さくするという点に関して、ここ80年の技術革新は目覚ましい。20世紀とは「ものを小さくする世紀」だったのかもしれない。


ツートンカラーの廊下がおしゃれ

商船三井ビル

神戸市中央区海岸通5
各線三宮駅、元町駅からちょっと歩きます。でもきれいな町並みなので歩くのは苦じゃないですよ。

※取材で乗車したエレベーターは普段は動いていません。

これは床から天井を見上げた写真。素敵。

蛇腹のエレベーター最高!

今回紹介した蛇腹のエレベーター2基を見てもらうと分かるのは、古いだけでなく、十分洗練されている点だ。1926年と1922年、80年ほど前に誕生したエレベーターが今も現役で活躍している。

エレベーターはすでに80年前にある程度の完成形を見ていたのだ。ただ古いだけではない。

進化の過程で安価であることを求められたエレベーターは、紆余曲折を経て現在のエレベーターに姿を変えていった。その間に気付かない間に失ったものがあるかもしれない。

なんてことを書いたら懐古趣味だと君は一瞥するだろうか。


 
 
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