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ちしきの金曜日
 
絶滅危惧種アパート


ぼくはふだんは団地の写真を撮っている者として知られているのだが、最近別のものも気になりだした。それはアパートだ。今回はぼくが愛してやまないアパート建築をご紹介したい。

(text by 大山 顕



■アパートっていじらしい

みなさん、日本に住む庶民ならだれしもアパートを見たことがあるはずだ。住んでいた、あるいはいままさに住んでいる、という方もいらっしゃると思う。今回みなさんにぜひその魅力を再認識していただきたいのは、そのアパートだ。いったいアパートのどこが魅力的なんだよ、という方もいらっしゃると思う。まあ、とにかくぼくがすてきだなあ、と思ったアパートをご覧いただけば気づくと思うよ。


錆びぐあい、古び具合、波板による階段と通路の屋根。せまい外通路。そっけない柵…。ああ、どこをとっても素敵だ。

窓のちょっとした庇のソリッドな感じ、褪せた黄色のボディに黒い階段。その階段の目隠し板…。なんて君は素敵なんだ。

完璧な横長プロポーション。アンバランスな太い鉄の柱、お約束の波板通路天井、そしてなんといっても絵に描いたようなブロック塀が良い。

定番の鉄の階段、波板天井、暗い玄関まわり、階段下に停められた自転車の佇まいが泣かせる。

冬の夕暮れ、夕焼けに映えるアパートたち。どうだろうか、あらためてこうやってみてみると魅力的ではないだろうか。なにか胸がきゅんとする感じとかないだろうか。

まったくきゅんとしない方にはたいへん申し訳ないが、今回のぼくの記事はずっとこんな感じなので、他のライターの方の記事を読んでください。


階段がボディ中央部にアクセスするタイプ。褐色の階段色がぐっとくる。どこをとってもふつうな、何の特徴もない「ザ・アパート」という雰囲気に筆者はもうメロメロだ。

ボディを回り込むように設置された階段、アパート名銘板の掲示位置、二段構えの階段づかい、剥きだしの基礎コンクリートの廊下。赤い屋根が泣かせる。

二階廊下を波板で全面覆った、いかにもアパートらしい心遣い。さびしげな植栽と、階段最下部の摩耗したコンクリートが雰囲気を高める名品。

 

 
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