あじさい大好き
JR東日本の駅にある立ち食いそば「あじさい茶屋」。
定番メニューのほかに季節ごとの特別メニューがあり、特別メニューは店頭の大きな幕で告知される。
その告知の文章がいつからかものすごく華やいだ文章になっていることに気づいた。若者のメールのようなのだ。面白いので意識してみていたら、告知の文章にストーリーが見えてきた。僕だけかもしれないが、見えてしまったのだ。
身近なところで起きている変化をご紹介します。(林 雄司)
これが今回の舞台
冒頭で説明した店頭の幕とはこれ。季節の特別メニューがたいてい2〜3点紹介されている。
ちなみにこれは2008年3月からの季節メニュー
遠目で見ても顔文字や☆が多用されていることがわかる。それは後述するとして、まずは季節メニューの煽り文句の変遷を見ていただきたい。定番メニュー入りにまつわるストーリーが見えてきたのだ。
観察1) 定番入りを目指すメニュー
温玉カレーはあっさりと姿を消した。そのかわり別メニュー「牛肉☆温玉☆」が定番狙いかと言われている。盛者必衰の理をあらわす季節メニューである。
相当盛り上がってます
続けて読むとモーニング娘。全盛期のASAYANのナレーションのようだ(もっと今風のたとえを考えたが思いつかなかった)。1回見ただけではなんだかよく分からないのだが、続けてみるとなんとなく分かってくる。
牛肉☆温玉☆は定番メニュー入りするのか、それをおびやかす次の新メニューが現れるか気になるところである。もしかしたら定番は温玉なのではないかという気もする。
観察2) 文章の装飾の変遷
これ、はたして人に説明するようなことだったのだろうかという不安を感じないわけではないが、次は顔文字の多用についてだ。ではいきますよ。まずは2年前に遡ります。
この時期は写真を撮ってませんでした。すいません。でも探したら運営会社のサイトに画像がアップされていた。 2006年3月 2006年6月 ほとんどが筆文字・縦書きのオーソドックスなデザインである。おそば屋さんらしい。
そばの紹介が華やいできた。☆を使っている。「やまいも・おくら・めかぶ・なめこ」といった地味な食材も★で囲む。ぬるぬるもびっくりだろう。
2007年9月・テンションあがる
顔文字が登場。そして秋でも飽きない、という王道のしゃれには(笑)。「!」や「〜」も多用してそば屋とは思えないテンションになってきた。だが、メニューは揚げ茄子と渋め。
2007年12月・結構なのか
メガ旋風はあじさいにも上陸。文章に負けない派手なメニューである。しかし600円については「結構お得!」と控えめ。すごく得じゃなくて「結構」なのだ。誠実さにキュンとした。
2008年2月・ふたたびハイブローに
「ぼっかけ」と「(春を)追っかけろ」をかけている。その下の「ついでにそば屋も、ぼっかけ…ろ??」 とは立ち食いそばとしてはエッジが立ちすぎてる気がする。正直、よくわかんない。
2008年3月・春らしい伸びやかな顔文字
しゃれはなくなり、顔文字でおしている。顔文字も顔だけではなく、腕やピースサインもついてのびのびしている。春らしいですね。
こちらも相当テンション上がってます
2006年はほとんど顔文字がなかったことを考えると1年で相当な変わりようである。入社1年でどんどん派手になってゆく新人を見るようだ。
印刷だから顔文字じゃなくてイラストを使えるのに敢えて顔文字で行くあたりこだわりを感じる。か、テキストデータしか入稿できないのか。やっぱり今後の展開から目がはなせない。
ちりとてちん
JR新宿駅の乗車人員は1日75万人だそうだ。池袋は57万人、渋谷は43万人。山手線の駅はだいたい10万人を超えている(*)。そこのほとんどの駅にあじさいはあるわけで、当サイトの1日の購読者数の数十倍の規模である。
見ている人の数では連続テレビ小説に負けないぐらいの作品(新メニューの案内のことです)なのかもしれない。続きが気になるのも仕方あるまい。
これは2004年撮影。ほんとあじさい茶屋の写真ばっかり撮ってます。