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フェティッシュの火曜日
 
カキいっぱいのカキオコを作ろう!

春の気配(スギ花粉とか)を運んでくる風も吹き、そろそろ冬も終わりかなというこの季節。この時期、無性に食べたくなるものといえば、昨年岡山県の日生(ひなせ)で食べた、ぷっくりしたカキがたっぷりと乗ったカキお好み焼き、通称カキオコだ。
※くわしくはこちらの記事をご覧ください。

今シーズンはちょっと岡山まで食べにいく時間がないので、自宅でカキオコ作りにチャレンジしてみた。

(text by 玉置 豊




カキオコとは何か

日生で食べたカキオコ、抜群に美味しかった。

まず日生のお好み焼きの特徴は、青い部分の多いネギ、甘みの強いタイメイソース、味に変化を持たせるマヨネーズと一味唐辛子のトッピングだ。

焼き方等は後述するが、関西風とも広島風とも異なる、日生特有のお好み焼きなのである。これに日生産の新鮮なカキをたっぷりとトッピングしたのがカキオコだ。

日生に一回いっただけの私がカキオコについて語るのもおこがましいのだが、たぶんそうだ。


日生で食べたカキオコの写真。どうみてもうまそう。

カキオコを構成する大切な要素には、日生の入り組んだ街並み、味のある店の雰囲気、焼いてくれるおねえさんの笑顔なども含まれるのだが、これはちょっと自宅では再現できないので、とりあえず味の面でなるべく近づけるようにしてみたい。

 

なにはなくとも新鮮なカキが必要だ

カキオコで一番重要な材料といえば、やはりカキである。日生で食べたあの味を再現するには、是非とも新鮮なカキを手に入れたい。

東京にいながら新鮮なカキを手に入れるには、早起きして築地市場にいって買ってくるか、日生からお取り寄せをするか。

あるいは、海に行って採ってくるかだ。


じゃあ採ってこよう。これぞ大人の遠足だ。

以前、友人が「東京湾でカキが採れるところあるよ!」といっていたのを思い出し、美味しいカキオコを食べるためにカキ採りに連れて行ってもらうことにしたのだ。

素直に買ってきた方が楽なのだけれど、自分で採れる可能性があるのなら、できる限りはそっちを優先したい。

 

カキを採りにいこう

カキへの道は予想以上に遠く険しい。

まず友人の車で海まで行き、夜の海に耐えられるフル装備に着替えて、そこから海藻でツルツル滑る真っ暗な岩場を1時間ナイトウォーキングして、ようやくカキが採れる場所に着くのだ。

真冬の海だというのに、額から汗が出てきた。


ここに来るまでで、もう腰が痛い。

ちなみになんで夜にいったのかというと、あくまで潮が引くのが夜だったからで、見つかると密漁で捕まるからという話ではない。ここは漁業権の放棄された海なのだ。

※漁業権が設定されている場所でカキを捕ることはできません。また、食あたりの可能性もあり、いろいろと危ないですのでマネしないでください。

 

カキはどれだ

カキがいるという岩場に着いたのはいいけれど、周りにあるのは岩と海藻ばかりで、肝心のカキが見つからない。見つからないというよりも、カキがどんな姿で存在しているのかがよくわからない。

同行いただいている友人に聞いてみたら、「ほら、そこにいっぱいあるじゃん!」と、ただの岩場にしか見えない場所を指差された。

友人の指が指し示す場所に近づいてみると、子供のコブシくらいのゴツゴツした石が岩にくっついている。どうやらこれがカキらしい。

さすが野生のカキ。スーパーに並んでいるカキとはずいぶん違うワイルドなカキだ。柴犬とオオカミくらい違うぞ。


マウスオーバーでカキの場所を表示。 これがカキだそうです。

本当にこれがカキなのか、カキだとしても食べて大丈夫なのか、いろいろな不安が入り交ざった中でカキを拾い集めていく。どうしよう、友人にからかわれているだけだったら。ドッキリか。まあ友人もそこまでヒマじゃないだろうけど。

夢中になってカキらしき物体を採っていたら、潮が満ちてきてちょっとあせった帰り道、カキが入った網がとても重い。なんだか舌切り雀で大きなツヅラを持って帰った欲張りばあさんになった気分。


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