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ちしきの金曜日
 
世界一分かりづらい趣味


団地を鑑賞するという趣味をもっているぼくだが、世の中にはそれ以上に理解しづらい趣味を持っている人がいる。国道マニアとでも呼ぶべき人たちが、それだ。
今回、そのお一人といっしょに国道巡りをしてきたので、その様子をレポートしよう。いつも分かりづらい記事だが、今回は輪をかけて分かりづらいので注意!

(text by 大山 顕



■どっこい、けっこういる


 

「世界一分かりづらい」などと評してしまったが、じつは国道好きは世の中にけっこういる。ためしに「国道マニア」で検索してみてほしい。鉄道ほどじゃないが、すくなくとも団地マニアよりはたくさんいる。

し かし、なにが分かりづらいって、この人たちの趣味は「国道走ったよ」っていう活動につきる、という点だ。つまり、何かを作ったりコレクションしたりじゃな くて、ただ道を行く。上記で検索して出てきたサイトをいくつか見てみると分かるが、文字が多い。写真撮るにしても、そこに写るのはただのなんの変哲もない 道の写真になってしまうからだ。分かりづらい。


首都圏で気軽にいけるユニークな国道を案内してもらった。

今回案内してもらった松波さんもその名も「日本の道」と いうサイトを持っている。ご多分に漏れず、このサイトも門外漢には分かりづらい。ご自身が走破した国道について歴史や法律などとからめて詳細にレポートし ているのだが、なんせ相手は「道路」だ。鉄道なら「車両」というモノがあったり「時刻表」などのアイテムもあるが、道路にはせいぜい標識ぐらいしかない。

道路って対象物というより環境に近いので、語るのが難しいのだ。道路について語るのは愛について語るのと似ている。誰でも見聞き体験しているが、それを表現するのは至難の業だ。

おいおい、いま良いこと言わなかったか、ぼく。

 

■日本で最初の国道


もう始まりましたよ、と松波さん。え、ここが?

たぶん、国道趣味は語るより体験するものなのだろう。ともあれ、案内してもらおう。

「国道の本場は関西なんだよねー」と松波さん。とくに、これほんとに国道なの?って驚かされるような特徴ある道路(その筋では「酷道」と呼ぶらしい!)は西日本に多いとか。

しかし、東京周辺でも国道を楽しむことはできる。今回はカジュアルに楽しめる「港国道」を中心にまわってもらうことにした。

じつは、この133号が最初の国道。

出発場所は横浜。ひさしぶりだ。みなとみらいの風景をなんとなく眺めていたら「もうここから国道133号ですよ」と言われた。

(この133という数字でピンと来た人がいたら、あなたはカタギじゃない)

そうか、国道って始まりと終わりがあるんだよな。あたりまえだけど。きけば、「始点」と「終点」が定められているとか。向きがあるのか!国道1号線だった ら、始点は東京都千代田区、終点は大阪市北区。そういえば、日本で最初の国道って国道1号で、つまりそれは東海道ですよね?

県庁の脇通って大桟橋につきあたる、よく通る道だ。

「うーん、なにをもって『日本で最初』とするかは難しいところだけど、この133号がそうだといっていいと思う」

えー、国道って番号変わるものなんですか。

「変 わりますよー。この133号で言えば、明治18年に日本で初めて国道に番号が付いて、そのときの国道1号日本橋から横浜港まで。で、1920年に旧道路法 でこれが36号になった。さらにそのあと着工された第二京浜(現在の国道1号)が1952年の新道路法で国道1号になって、もとの東京 - 横浜間は国道15号になって残りのこの横浜から横浜港までの区間が国道133号になった、というわけ」

えーと、ひじょうにややこしい。ようするに国道って法律が変わったり新しく道路ができたりすると番号が変わると。そしてこの133号がかつての1号だったと。で、その栄誉ある1号の名残というか、そういうものはないんですか?

「ないんだよねー、それが」


由緒正しい元1号。それにしても短い。【ニフティ地図より

 

 
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