●話は再び現在の「秋葉原」
地名の由来となった神社がすでにそこにないというのは意外だが、もう一度「秋葉原」に話を戻す。
さて、いわゆる秋葉原の中心街がある東京都千代田区。その中でも「千代田区千代田1-1」は、皇居がある場所として有名だが、ならば「秋葉原1」には何があるだろうか。
秋葉原一番の繁華街である中央通り近辺ではない。そこから駅の反対側にはここ数年で建った大きなビル群があるが、「秋葉原1」はそこでもない。
駅西側のランドマークのひとつとなったヨドバシカメラを通り抜けて、もう少し北に行ったところに「秋葉原1」はあった。
そして「秋葉原1」にあったのは、コインパーキングだった。
ああ、それが悪いというわけではないが、そんなもんかという脱力感を覚えるのは否めない。仕方がないというのも変だが、ならば「秋葉原2」はどうだろうか。
「秋葉原2」にあったのは、日本農業新聞社の建物だった。いわゆる秋葉原のもつイメージとは縁のない感じがするというのが正直なところだろう。
秋葉原にこんなところあったっけ?こんな感じだったっけ?秋葉原を訪れたりテレビで見たりしたことのある方は、どうも変だと感じてはいないだろうか。
実はこの「秋葉原」、街区上の「秋葉原」であって、いわゆる秋葉原とはちょっと違うと思われる場所なのだ。
「秋葉原」の町名は、上の地図の中心の薄いグレーの部分だけ。メインストリートである中央通りからも、駅西側の新開発地区からも少し離れた、小さな街区だ。
いわゆる秋葉原ではない「秋葉原」。両者を比べてみるとこんな感じになる。
正真正銘の、という言い方が正確かどうかはわからないが、とにかく間違いなく秋葉原であるのは右側の写真の方なのだ。普通の静かな路地である。
ここは確かに秋葉原2。まぎれもない秋葉原はとても小さな町だが、他にはどんな様子がうろうろしてみた。
自転車で秋葉原の外周に沿って一周してみたら、たった2分で回れてしまった。全ての路地を見て回ったが、いわゆる秋葉原にはたくさんあるはずの電気製品の小売店は見つけられなかった。
秋葉原3・秋葉原4の様子も、いわゆる秋葉原ではない。秋葉原4にあったのは、業務用スーパー「肉のハナマサ」だ。
店頭にはいろいろな野菜が並べられていた。そういうことからすると「秋葉原」のイチオシ売れ筋商品は、野菜、ということになるのだろう。
店内には業務用スーパーらしく、でかい肉塊や缶詰などが陳列されている。こちらもアキバに似つかわしくはない。
普通な町並みであることが意外な「秋葉原」。行政上、この地名が街区としてついたのは1964年であるということだから、この場所にこの地名がついた歴史は思いのほか浅いと言えるかもしれない。
●電気製品が買えない秋葉原
地図を見ていて発見した今回の「秋葉原」。イメージとは違うことが期待にこたえてくれたことにもなった。電気製品は買えないけれど、でかい肉は買える秋葉原でした。