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ちしきの金曜日
 
3分でインタビュー〜あなたのケンカ話聞かせてください〜

ケンカ話は地域を越える

さて最後のふたりはいずれも女性。まずはイラストレーターの舌霧スズメさん。ビジネス誌・教育書から一般雑誌まで幅広く活動中。その一方で電撃ネットワークのギュウゾウさんのバンドkamakaji他ライブ・DJなど、夜の活動もお盛ん。

初インタビューで嬉しいなー!と言ってもらいましたが、こんなんでスイマセン、3分だし。ではさっそくレッツケンカトーク!


舌霧さん(目黒・オフィスにて)

「(私の地元の)関西地方っていうのはすごくケンカが多いんです。昔、夜中の11時半くらいかな。歩いてた時に女の人が裸足で駆け寄ってきて『助けてくださーい!』って私のとこに向かって走ってきたんです。それで私を捕まえて助けてくださいって懇願するわけです」

−−場所は?

「国道沿いの道ばたで。で、女の人が裸足だからあきらかにこりゃヤバイって思って。それで『どうしたんですか?』って聞いても『助けてください』しか言わないのよ。具体的に何があったか言わない。歳はたぶん30歳くらいで、パジャマにカーディガンみたいな服装で」

−−もう家から逃げてきたまんまの格好で。

「そうそう。で、警察を呼んでくれと言われたんだけど、状態がわかんないからまぁまぁと言ってたら、脇に車が止まって男の人登場よ。それで私は男の人と女の人に挟まれた状態に」

−−そりゃ災難だなぁ‥。

「それで口ゲンカが10分くらい続いて」

−−その内容とか覚えてる?

「ホントねぇ、痴話ゲンカ。浮気したのしてないのって。男は30歳過ぎたもう思いっきりヤンキーで」

−−ああ、絵が浮かぶねぇ。大阪の国道沿いで。

「それでこの話オチは無いんだけど(苦笑)、最終的にはその男の人が『オマエ誰だ』って(言ってきて)」

−−アンタこそ誰だって話だよね、こっちからすると(笑)。

「『友達でも何でもないし、こういう事情で』って言ったら私は解放されて、女の人は再度拉致。車に乗せられて、それ以降はわからないですね」

−−場所はどの辺です?

「和歌山寄りです」

−−あー、ウチの従兄弟が今度○○○市に引っ越すんだよな‥。

「あーー、○○○は一番危険だよ!わたしが高校生の時、○○○の高校でカサで人を刺したって事件があって大問題になったもん」


これもヤなエンディングだなぁ。怪談の最後に「その声は‥お前の後ろだぁーッ!」って言われたみたいな。ケンカ自体が不透明決着な分、綺麗にオチもついた気もしますが。


目黒の歯医者は「歯」のロゴがかっこいい。

そして最後は編集者・ライターの菊池由紀さん。音楽誌やグラビア誌などの編集者を経て、現在フリーで活躍中。地方や職種を越えたケンカ話をここまで拝聴してきましたが、最後は海外!


菊池さん(中野・居酒屋にて)

「19歳の時にイギリスに行ったんですよ。語学留学兼ちょっと遊びみたいなので。最初寮にいて、その後B&B、ベッド&ブレックファストって呼ばれてる朝ご飯がついてる民宿みたいなところに泊まるようになって。そこって世界各国から若い子たちが集まってきてて、ベッドメイキングをすると泊まり代がタダになるんですよ」

−−バックパッカー向けみたいなね。

「そこにいろんなところを回ってる旅人がいて、そこでイタリアから家出してきた16歳の女の子がベッドメイキングしながらずっと住んでたんだよね」

−−ちょっとロマンティックだねぇ、それだけ聞くと。ずっとってどれ位?

「彼女は一年くらいいるって言ってた。お給料は出ないんだけどそれでずっと泊まってて」

−−居続けれるもんなんだねぇ。

「それが、その子がとんでもないというか、ビックリするんですけど、イタリアから家出してきたからお金がないんですね。それでどうして宿泊費以外を稼ぐかというと、世界各国から集まってきた人に売春をして日々の生活の糧にしてたんですよ!」

−−なんか映画みたいな話だなぁ。

「それで、彼女とイギリスの料理について話し合った時に『イギリスのパスタって最悪!』って話になって。最初はまずいよねー、とか話してたんだけど、『日本は固ゆでとかあったりするよ』とか言ったら、イタリア人が激高して『ノーアルデンテだ!アルデンテをわかってない!』って騒ぎだして。『日本は外部の料理を取り入れるのが上手い国だから一度食べに来て』って言っても『認めない!』って。それでイタリア人と大ゲンカ(笑)」

−−でも自分も英語はそれほど出来ないんでしょ?

「お互い英語が第二外国語同士なので、分かる単語同士でつたない口ゲンカだったと思いますよ。つたないながら、お互い母国の誇りを賭けて(笑)」

−−その後仲良くなった、みたいな良い話に展開するとか?

「その後は、私がそこを出たんでどうなったかわかんないんですけど、価値観の違いを学びましたねぇ」


考えてみたら最初の売春の話いらなかったなぁ、と思いつつも、そのせいでイメージ的には広がる話に。それなしだとただイタリア人と言い合っただけの話だもんね。

さて3分インタビュー×7人はこれにて終了。全員インタビューの了解はとっていたものの、直前に「ケンカについて3分語ってください」と言ったので「自慢のケンカ話」という人ばかりではない。そういう意味ではいわゆる「すべらない話」ではないけれど、その分生々しく自然な話が出た気がする。

ちなみに、確かに7人分のテープ起こしやってみて、確かに時間は短くていいんですが、結局それを編集して読みやすくする労力はあまり変わらないんだよなー。

とはいえ、やって良かったなぁ、面白かったなぁ、と思えるのは、お会いした人たちにインタビューした話の流れでいろいろと楽しい話が出来たから。3分をきっかけに、その人の知らない面が見えてくるんですよね。インタビューじゃなくても、テーマを決めて話すと意外と話が転がっていく。話すのが不得手という人も、3分話せば何とか話は展開していくもの。

そう考えると『ごきげんよう』サイコロって良いシステムだなぁ。行き着くところはアレか!

なんか良いテーマあったら教えてください。

ケンカってテーマはエモーショナルな問題だけに、その人の知らない部分を垣間見せる話題としては悪くなかったかな。ただ、自分のケンカだと自分の中で消化してるかどうかで言えたり言えなかったりする。また別のテーマで3分インタビュー、やってみたいものです。

ともかくご協力いただいた皆様、ありがとうございました!


 
 
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