「19歳の時にイギリスに行ったんですよ。語学留学兼ちょっと遊びみたいなので。最初寮にいて、その後B&B、ベッド&ブレックファストって呼ばれてる朝ご飯がついてる民宿みたいなところに泊まるようになって。そこって世界各国から若い子たちが集まってきてて、ベッドメイキングをすると泊まり代がタダになるんですよ」
−−バックパッカー向けみたいなね。
「そこにいろんなところを回ってる旅人がいて、そこでイタリアから家出してきた16歳の女の子がベッドメイキングしながらずっと住んでたんだよね」
−−ちょっとロマンティックだねぇ、それだけ聞くと。ずっとってどれ位?
「彼女は一年くらいいるって言ってた。お給料は出ないんだけどそれでずっと泊まってて」
−−居続けれるもんなんだねぇ。
「それが、その子がとんでもないというか、ビックリするんですけど、イタリアから家出してきたからお金がないんですね。それでどうして宿泊費以外を稼ぐかというと、世界各国から集まってきた人に売春をして日々の生活の糧にしてたんですよ!」
−−なんか映画みたいな話だなぁ。
「それで、彼女とイギリスの料理について話し合った時に『イギリスのパスタって最悪!』って話になって。最初はまずいよねー、とか話してたんだけど、『日本は固ゆでとかあったりするよ』とか言ったら、イタリア人が激高して『ノーアルデンテだ!アルデンテをわかってない!』って騒ぎだして。『日本は外部の料理を取り入れるのが上手い国だから一度食べに来て』って言っても『認めない!』って。それでイタリア人と大ゲンカ(笑)」
−−でも自分も英語はそれほど出来ないんでしょ?
「お互い英語が第二外国語同士なので、分かる単語同士でつたない口ゲンカだったと思いますよ。つたないながら、お互い母国の誇りを賭けて(笑)」
−−その後仲良くなった、みたいな良い話に展開するとか?
「その後は、私がそこを出たんでどうなったかわかんないんですけど、価値観の違いを学びましたねぇ」 |