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はっけんの水曜日
 
国際宇宙ステーションを見よう

国際宇宙ステーションってなんだ

そもそも国際宇宙ステーションとはいったいなんなのか。詳しい人に聞いてみることにした。都合のいいことに友人が宇宙ステーションに関わる研究所、JAXSAで働いているのだ。友人I君は普段は髪染めてスポーツカーに乗っていたりするので金持ちのヤンキーっぽいのだが、最前線で研究に携わっているわけで、実はかなり詳しいことを知っているはずだ。いきなり電話してみた。

もしもし。

中略

ところで国際宇宙ステーションっていったいなに?

「アメリカとロシア、それにヨーロッパとカナダ、日本などが参加していろいろな試験とかするための施設だよ。環境が地上と違うので新しい発見があったりするんだ。たとえば金属材料の調合とかでも、重力が地上に比べてとても小さいから比重の違いに影響されずにきれいに混ざるんだよ。そういうデータを地上での技術にフィードバックさせるのだ。宇宙ステーションのなかの日本のモジュールがきぼうっていうんだよ。」

やっぱりすごい。宇宙ステーションがすごいのは当たり前なのだが、いきなり電話で尋ねられた質問にずばっと答えられるI君がすごい。どんどん聞いてみた。

いつごろ完成するの?

「わからん、忘れた。でも当初の予定よりもかなり遅れてるみたいだよ。スペースシャトル、コロンビアの事故とか各国の宇宙開発にかける資金の不足とかが影響してるみたいだね。」

将来はそこに誰か住むの?

「もう住んでるよ。完成したら6人か7人が3ヶ月から6ヶ月くらいの期間で交代して常駐することになるはず。いまJAXAのHPから募集してると思うから応募してみたらいいよ。」

なんと、応募したら将来ステーションに駐在することができるかもしれないらしい。一瞬本気で応募したいと思ったのだが冷静に考えたら宇宙だ、つまり打ち上げられるわけだ。沖縄行くのとはわけが違う。あちらでの生活とはどんなものなのだろうか。

たとえばあっちに住んだらなに食べるの?

「食事もかなり発達したんだ。昔はチューブ入りの練り物だったんだけど、今はいろいろバラエティがある。このまえテレビで土井さんも食ってただろ、なんかパックみたいの開けてさ。カップラーメンも実際に開発してるんじゃないかな。そうだ、うちで宇宙に持ってくカレーが手に入るから今度会うときに持ってってやるよ。」

僕はいま一時的に単身でアパートに住んでいるので食事は基本的にレトルトだ。ここだけ宇宙っぽい。でも半年も耐えられる自信はない。やっぱり焼き鳥とか食べたいしビールも飲みたい。宇宙での暮らしはまだまだ地上レベルとまではいかないみたいだ。

で、I君はいまそこで何をやっているの?

「おれは材料の研究をしてるよ。エンパックアンドシードっていって材料の暴露実験。宇宙環境って意外と苛酷で、使ってる材料が環境にさらされていると短期間でも結構劣化するんだよ、紫外線とかでね。これの研究だね。来年の春にこのための実験装置を打ち上げる予定なんだ。」

なんか難しそうだけど聞いてると楽しそうだね

「そうだね、でもわけわかんねえことも多いよ。あとNASAと通信するから英語ができないとつらい。おれいまDSの英語漬けやってるけどやっぱだめだ。でも宇宙開発には夢があるよね。忙しいけど嫌な仕事じゃないよ、楽しいね。」

I君は僕が以前勤めていた会社の同僚なのだが、かつていた職場では彼は屍みたいな顔をしていた記憶がある。しかし今は生き生きと宇宙への夢を語ってくれた。なんだか僕も少年時代にみた宇宙への憧れがよみがえってくる思いがしたよ。I君、ありがとうございました。

それではその国際宇宙ステーションをなんとか写した写真を紹介したい。


これだとシャッターを長く開けすぎ。

試行錯誤の末

ステーションは一等星よりも明るく見えるのだが、結構な速さで動いているため動かない星に比べて瞬間で見るとカメラに届く光が少ない。だから他の星よりも明るいのに写らないのだ。

その光をキャッチするため、ISO感度はできるだけ高く設定した方が良い。僕は今回ISO1600で撮影に臨んだ。しかしステーションが現れるのは決まって日没直後や日出間際のため、空にほんのりと明るさが残っている。こういう時に感度を上げてしまうと真っ白になってしまってまたなんにも写らなかったりする。日没直後の場合、ISO1600で絞りF4、これで10秒くらいシャッターを開けておくのがぎりぎりの線だった。これ以上長いと明るすぎて見えなくなるし、短いと軌跡が写らない。

この一週間で撮影した中で最もきれいにステーションの軌跡を撮影することができた写真だ。この地味な感動、わかってもらえるだろうか。

ステーションが出現した。
そのまま円弧を描いて飛んでいく。

ステーションは弧を描いて仰角を下げていく。
このあたりで仰角10度くらい。この後消えていった。

星を見上げるということ

宇宙には夢がある。気がめいるようなニュースに囲まれて暮らしているとどうしても気持ちが縮んでしまうものだが、たまには夜空を見上げてみてほしい。そこには「きぼう」を乗せた宇宙ステーションが見えるかもしれない。あそこには僕たちと同じ人間が生活しているのだ。たまには遠い宇宙に夢をはせてもいいんじゃないかと思う。

だけど夜道には危険がたくさんだ(ミニサイズの谷に落ちそうになった瞬間)。

 
 
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