ハトメってご存じだろうか。
多分知らなかったのは僕だけだろうが、布に穴を空けて、その穴を強くするための金属パーツがハトメだ。
そのハトメ、よくよく考えるまでもなく「鳩目」だ。
おお、鳩目。ハトメは鳩の目だった!なら、ハトメを付けたらなんでもハトになるんじゃないだろうか。だって目って命じゃろ?
よし、片っ端から鳩にしてやろう。
今日はそんなお話です。
(text by 松本 圭司)
■まずはハトメを準備
ハトメは近所の手芸屋さんで売っていた。1パック500円で2種類買ってきた。2個ずつしかいらないのだが、そんな単位では売ってないのでたくさん手に入れてしまった。
今後、多分一生ハトメには困らない。嬉しい。と、思っておこう。
ハトメパーツをハトメにするのは簡単で、添付の金具に部品をセットしてガンガン叩くだけ。あっという間に鳩の目っぽいハトメが出来た。無感情な円が大変に鳩の目っぽい。
早速色んな物にハトメを付けてみよう。 もうね、全てが鳩になっちゃうに違いないんだから。
■ミカンバト
まずはミカンにハトメを付けてみた。
左の写真がそれなのだが、どうにもハトには見えない。コレは、ハトメが付いたミカンです。中1英語の和訳みたいな言いっぷりで、「コレは、ハトメが付いたミカンです」。
なにが悪かったのだろうか。
まぁ、実は、なんか足らない正体は大体見越してたので、色付き粘土を買ってきてあったのだ。
でもってくちばしを作って付けてみたら、ハトメの効果と相まって一挙に鳩になった。
なるほど、ハトメだけじゃダメで、ハトクチを付けないとハトにはならないのだ。よし、わかった。どんどんハトを作っていこう。
■公園ハトコレクション
ランカンバト 近所の公園に生息するハト。四角さが可愛い。基本動けないので苔が生えてしまう。それは本人も気にしている様子。ランカンバトは、公園の魚にエサを撒く人の顔を見るのが好きだ。
テスリバト ベンチのテスリに擬態したハト。このベンチで何組のカップルが誕生し、そして結婚し、ゆくゆくは離婚していくのか。そんな事を考えながらクックックッと笑う、ちょっと性格がアレな種類。
カギバト ゴミ捨て場の平和を守る一羽の老バト、それがこのカギバト。カギを持つ選ばれし者のみに愛想を振りまき、それ以外の下々の者には一切口を開こうとしない。
最初のうちはゴミの匂いに毎日参っていたが、今はもう慣れてゴミの匂いを嗅ぎながらでもご飯を食べられるまでになった。
イワバト ある岩の前でハトが惨殺された。人々はハトの死を悲しんだ。何万人もの人間がその死を悼み、この岩の前で泣いた。しかしそれもすっかり忘れ去られた頃、岩にハトの顔が浮かんできた。
それがこのイワバトだ。こわい。
カニバト 平家の怨念が宿ったと言われるのは平家蟹だが、これはハトの怨念が宿った蟹だ。上のイワバトのすぐ近くにあり、やはりこれも死んだハトの魂が宿った物だ。
大変に恐ろしい写真なのでお見せするか悩んだが、恐ろしいと同時に珍しい蟹でもあるので紹介させていただいた。
デンキバト 暗くなると明かりを灯して歩行者の安全を見守るエライハト。この公園ではカギバトと並んで働き者とされる善なる存在だ。ちょっとペンギンっぽいその様子から、ペンギンと間違えられる事もあるのだが、本人もまんざらでもないみたいだ。
しかし、クチバシの上の丸いのがハトという業を強力に物語っている。やっぱハトだ。
■ハトメっていうかクチバシの方が重要?
大体ここまで、ザーッと見てきたみんなはこう思ってるに違いない。
「ハトメよりも、クチバシがハトらしさを出してるんじゃね?」
判る判る。しかしだ。左の写真を見て見て見て見て。
どうだ、クチバシだけじゃハトじゃないだろう。なんだこれは→黄色と白のなにかが付いたパイロンだ。ここはやはりハトメに登場いただいて、完膚無きまでにハトにしてもらおう。
やはりハトメが付くと一気にハトになる。ハトメだけじゃ確かにハトにはならないけど、クチバシだけでもハトにはならないのだ。ハトメとクチバシがあってこそ、目鼻が揃ったハトになるのだ。
よし、まだまだもっとハトにしていこう。