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ひらめきの月曜日
 
「ぢゃんぼ餅」はジャンボじゃなかった

再度、ぢゃんぼ餅を

どうやら、このぢゃんぼ密集地帯は全長が50メートルほどであることが分かった。中で食べられる店と、持ち帰り専用の店とに分かれているようだ。


車が止まって注文するスタイル。店の人が外で待機中。
見本もこの通り。
見たところ、ここが一番大きそうでした。
中川家さん。ここでひと休みさせてもらおう。

平日の午後ということもあり人出は少ない。「いいですかー」と声をかけ、店内でくつろぐことにした。

席に着くなり、お店の人がお茶を持ってきてくれる。それだけだ。メニューも見当たらないし、本数とか種類とかも一切聞かれない。ということは、座ったらぢゃんぼ餅が自動的に出てくる、というシステムなのですね。


店内はかなりゆったりとしています。
そして大変居心地がよい。

しばらくすると、目当てのぢゃんぼ餅がやってきた。
皿をみて驚愕。…食べきれるだろうか。


さっきの倍の本数(12本)が出てきた。おお、ジャンボ…。500円也。

さっきも書いたが、普段甘い物をあまり食べない。それが一気に餅を12個だなんて、大丈夫なんだろうか。この日は同行者もいない。

不安な気持ちで食べ進めたのだが…。


お? 甘さがそれほど気にならないぞ。
どんどん腹に入ってゆく。

タレの甘みがちょうどいい。いや、私好みなのだろう。焦げ目の香ばしさもいいアクセントで、ひとつひとつが小ぶりなこともあり、するすると食べられる。

さらに餅が焼き立てで、串を持っただけでトローンと伸びてしまうほど柔らかいのもいい。


あっけなく完食。

人気の店らしく、外を通る車から「1パックください」とひっきりなしに声を掛けられていた。タクシーの運転手さん達も気軽に買っていく。

観光客相手というよりは、地元に密着した食べ物なんだろうな、と思わされた。


究極のドライブスルー方式。

奥では、お店の方がぢゃんぼ餅を作っていた。リズミカルに餅を焼く様子は見ていて飽きない。

──ずいぶん古くからやってらっしゃるんですか?
「そう、うちはもう133年」
──ひゃ、ひゃく…? すごいですね。柔らかくておいしかったです。
「毎日餅を搗いてるものー。それに、この味噌ダレはうちだけよ。おいしかったでしょう?」


網で餅がプクーッと膨れながら焼けてます
それを焼けたそばから串に差す。見るからに熱そう。
最後にタレをからめて出来上がり。
店を紹介した古い新聞記事が飾ってありました。

他にも

  • 「男はつらいよ」48作目で寅さんが食べた
  • 「チェストー!」という映画にも出た
  • 海水浴場が近いから、夏はお客さんが多い
  • 天皇陛下に献上するため鹿児島空港まで焼きに行ったこともある
  • 大河ドラマで見た人から「ぢゃんぼ餅ってなんだ?」と問い合わせが来た

などなど、興味深い話をたくさんしていただいた。当然だが、どれも知らなかったことばかりである。

「あらー、東京から来たの。気をつけて帰りなさいね」と見送られて帰ってきた。

鹿児島でもここだけらしいです

帰りのタクシーで、運転手さんに「ぢゃんぼ餅の店って、他にもあるんですか?」と聞いたところ、「うーん。市内ではあそこだけじゃないかな」と返された。

「え、駅とか空港で売ってないんですか」と驚いていると、「どうだろうねぇ。あるかもしれないけど…見たことないなぁ」と言う。

流通が発達したいまの時代、居ながらにして全国の名物がなんでも食べられる気でいたが、現地に行かなければ出会えない物も当然のようにある。

そんな当たり前なことに気付かされた今回の旅であった。

「僕からしたら、ぢゃんぼ餅って、…まぁ昔の食べ物だよねぇ」と運転手さん。そうなんですか。

 
 
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