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ちしきの金曜日
 
未来はここまで軽くなる&大きくなる
最近はこの影響もあるんでしょうが。


「史上最大!」「最軽量!」「最薄!」特に電化製品やらパソコン関連のコーナーに行くと、そんなキャッチフレーズが目につく。なんでもかんでも軽くなったり大きくなったりしていく。いったいその進歩はどこまで行くのか?あらためて進化の歴史をグラフにして、進化のスピードを予想すれば、10年後どうなってるか分かるのではないだろうか。

大坪ケムタ



他より薄くて&デカくてナンボの世の中だから

今誰もが持っていて、重さが重要なものといえば携帯電話。その元祖といえるのが1979年に登場した「自動車電話」、その重さ7キロ。85年にはその名の通り肩にかけられる「ショルダーフォン」なるものが登場するのだけれど、それでも3キロ。昨年登場した携帯で最軽量が80グラム台。30年の歴史でそろそろ100分の1、ということか。そう考えるとすごいな。


軽いとか薄いとか、人格だったらマイナスだよね。

ネットやら雑誌やらでその当時「最軽量!」をうたっている数字をいくつか拾いだして、その軽さの進化をグラフ化するとこんな感じになる。

見てのとおり、タテ軸が重さで横軸が年数。いわゆる「携帯電話」として登場した87年が900グラム、そして91年のムーバ登場で230グラムと、この辺からガンガン軽くなっていく。特に90年前後は1987年=900グラム、1989年=640グラム、1991年=230グラムと一年に100グラム近くの超シェイプアップぶり。もし携帯が人間なら「いつまでもデブだと思うなよ」と当時言ってたに違いない。

自動車電話時代を基準にしてしまうと、もう90年代以降が横軸の底辺ベッタリになってしまうので自動車電話・ショルダーフォン時代を外して再度グラフを作ると‥

見ての通り、いわゆる反比例のグラフっぽい。さすがに100グラム越えてからは軽量進化はやや停滞気味ですな。しかし96年以降は一ケタ前半レベルの減少を競い合うように。ちなみに最後の2007年は83グラム。

さて後半のうっすらゆるやかなカーブから予想すると、10年後の携帯電話の重さは‥

1996→2006が4グラム減、1997年→2007年が7グラム減
なので、そのペースで行くと10年後は70グラム台後半というところか。うーん、現実的な数字過ぎて面白みがないな。そもそも世界では40グラム台の携帯が既にあるそうだし。


2008年のコレが最軽量なら
2018年はフタの分軽くなった程度、だわな。

最近「大きくなった!」とうたってるものといえば、新聞だ。特に読売新聞はメガ盛りブームに乗っかって(というわけではないようだけど)「メガ文字」リニューアル。ネット記事の方もそうなってるのかな‥と思ったら、よく考えたらブラウザって自分で文字大きくできるんだった。カスタマイズ出来ないだけに、中庸を狙わなければいけない新聞は大変だ。


一面でアピールしてます。

朝日新聞も大きくなったんですね。

さて、今回のメガ文字化により従来の23%拡大となった読売新聞の文字。読売新聞のメガ文字解説サイトに時代によるサイズアップの歴史が書かれていたので、それを引用してもともとの文字サイズからの倍率を比較してみると‥

もともとのサイズの文字に比べると約2.25倍。ただ段組み・文字組みや使用書体の変化もあるので、見た感じの実感はまた違ってくるのだけど。

これがグラフ通り、順調に大きくなっていくとすると‥

2008年のコレがメガ文字。
2018年のテラ文字(仮)はこのくらい。

2018にはおそらく元のサイズの3.15倍。メガ文字の1.4倍くらいに。ま、拡大コピーしただけなのでこれだと新聞も1.4倍になっちゃうんですが。

同じくどんどん大きくなっていくものといえばテレビのサイズ。最近いまさらながらXBOX360(ゲーム機)を買ったのだけど、大型テレビ&ハイビジョン推奨なだけに我が家の小さな&ブラウン管テレビでは文字が潰れまくり、読みづらくてツライ。そのくらいもう大型が標準、という事なのだろうけど。皆金持ってんなー。


細かい英語とかツライのよね。

大型テレビ、とひとことで言っているけども、最近では液晶にプラズマだのリアプロジェクションだの有機ELだのと種類もいろいろ。この辺の薄型テレビの大型化の歴史をあらためてグラフにしてみよう。

薄型テレビの代表格・液晶テレビが初めて商品化されたのが、82年にエプソンが開発したテレビ付デジタル時計で、これが1.2型。2000年以前は高級品という印象だったけれど、ここ数年は地上デジタル放送への移行もあって、急激に一般化。さらにプラズマテレビとの開発競争も勃発し、デカさ競争みたいになってる状況でもある。

タテが画面の大きさの型、ヨコが年数です。ちなみにテレビの画面の大きさを現す型はタテヨコいずれかの長さではなく、四角形の対角線の長さをインチで表した数字なんですね。どっかで聞いたことあるけど忘れてそうな豆知識です。

現在の最大クラスが市販機だと103型、発売予定も合わせれば108型。いろいろ調べてると「世界最大テレビを発表」「発売」で時期が違ってたり、そのくらい「ウチが最大!」争いが一番シビアな業界なんでしょうな。とはいえ、もう家に置けるレベルじゃないからねぇ。


小雪もウチにゃ置けないなーと思ってるはず。

特に上のデータを見れば2000年代からの格段な伸びが目につく。もしこの勢いがそのまま続けば10年後は‥

‥なんかムチャクチャなグラフになりましたが。とりあえず10年後は600型薄型テレビが登場!ということで、その大きさを計算すればヨコ13m強タテ7m強のハイビジョンが当たり前の世の中ということになります、10年後の日本は。

ちなみに600型のテレビというと‥実はこいつと全く同じ大きさ。


「笑っていいとも!」でおなじみ、アルタビジョン。

ちゃんとサイズも16:9だし。一家に一代、アルタビジョン!タモさんもついてくる!(きません)今ビル一棟なのが薄型数十センチで上映できるようになれば、そりゃ凄いですが、どう使えばいいのやら。

高度経済成長期とかバブル時代を過ごした人が「皆ずっと日本は右肩上がりくらいに思ってた」なんて話も聞きますが、なんか進化するのももうちょっと適当でイイ感じもします。だいたいモノの進化ってエクストリームに行けばいくほど現実には使いようがなかったりしますし。

「史上最大!」とか「最軽量!」てのもいいけど、「デカ過ぎず小さすぎず重すぎず軽すぎず‥」そんなコンセプトっつーのも見たい気がしますよ。ま、「すげぇデカい!」「すげぇ小さい!」というのにもプリミティブな喜びがありますけどね。


そういう意味でいいネーミング。

さらに3年でこのくらい。小雪12m。

進化は快感で喜びでもあるけれど

グラフ制作においてデータはいろいろ調べたんですが、多少のズレやヌケがあるのはご勘弁ください。知りたいのは進化のスピード、ですので。

携帯の軽量化みたいに進化がゆるやかになってるのは、「もうこれ以上いいんじゃね?」というストップがかかってるんだろうなぁ。そう考えると薄型テレビはどこまで行くのやら。


 
 
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