化石ゴロゴロ
調べてみると、これは火山灰の堆積してできた泥岩で、第四紀前期〜中期(百数十万年前)の地層、それも海だったころの地層だそうだ。見た目や感触からしても、泥でできた堆積物ということはわかる。
そしてこれも後からわかったことだが、ここは地学のガイドブックでよく化石スポットとして紹介されている場所なのだ。この日も、趣味の化石採集に来ている御仁を幾人か見かけた。
さて私も、ビルケンシュトックのサンダルに履き替えて、川に入って探索だ。
とは言うものの・・・化石探しなんて、よく考えたら生まれて初めてだ。高校の地学部のとき、文化祭の準備に先生がごっそりと馬の骨を買ってきたこともあったが(それをお客に組み立ててもらうという企画、案の定ポシャる)、実際現地で探してみるのは初体験。そんな、ていよく見つかるもんなんだろうか。
という思いは杞憂に終わった。化石フィーバー!化石が確変モード!(パチンコのことはよくわかりません)。
川は浅いが流れがけっこうあり、足をとられないように気をつけつつ、体をくの字に曲げ水面に顔を近づけローラー探索。
岸に近い、流れのよどんだ浅い川床なら水流に邪魔されずに観察できるのだが、収穫はない。やはり流れの中にある岩じゃないと、「露出」していないのだ、化石は。露出で興奮する意味がよくわかった。ロシュツ!ロシュツ!露出を探せ!すると・・・。
泥岩だけあって、最初硬い1枚岩のように見えた川床も、ちょっと力を加えるとポロッと削りとれる。なので、既に先客が化石を採っていった跡がそこらじゅうにあった。
発掘した貝も、力を入れればホロリと崩れてしまいそうな、泥岩質に変わっていた。
体が泥に置き換わる。体をサイボーグ化するとか擬体化するとかでなく、「泥」になちゃった気分ってどんなものなんだろう、と、百数十年前の貝の思いについて余分な考えをめぐらせた1日でした。
このあたりからは去年、なんとジュゴンの化石が見つかったそうだ。完全に「海」である。かなり内陸まで海だった、というドラえもんで得た知識を今さら再確認した。
結局今回採集できた化石は、4つが二枚貝。カニのハサミが1つ。これからもたまに化石採集をしに行ってみるか。大物狙いはまた今度ということで。