もし触らなくてはいけなくなったら
うまく見せようと構えない。むしろ触るな。禅問答のようだが、もしギターに触らなくてはいけなくなったらどうしたらいいだろう。ピックの持ちかただけでもマスターしたい。
「ピックの持ち方はいろいろあってどれがうまいと一概に言えないんですよ。指で弾くのはどうでしょう。『あ、そういう人なんだ』って思ってくれるかもしれないですね」
指で弾くというのは歯ブラシを使わずに指で歯磨きをするようなワイルドさがある。うまそうだ。
「弾かずにポーズの写真だけだったら、左手はできるだけ開いて、右手の人差し指をネックに当てる。タッピングができる人みたいに見えます」
ギターマガジンの表紙みたいになった。タッピングがよくわかってないのだが、こういうの見たことある。
どう言ったら分かってるように聞こえるだろう
これ以上ギターに触っていると弾けないのがばれてしまう。ギターについてわかった風の言葉遣いなどないだろうか。手先ではなく口先でのソリューションだ。
「ギターの音色について話すと分かってる風に聞こえますよ」
音色なんて言われてもよく分からない。
「いや、思いついたことのあとに『なので、いい』ってつければいいですよ。『耳に痛いところが、いい』とか『音が大きくて、いい』とか。」
それなら僕もできそうだ。
「すごいジャンプだ、とかパフォーマンスをほめるよりも音をほめると音楽性について踏み込んでる感じがします」
宮城さんは音楽関係の仕事をしているので著名アーティストに会うこともある。そのときの大事な処世術を聞いてしまった気がするのだが(そして書いていいのか迷うが)、せっかくの叡智を披露してくれた宮城さんに感謝して「思いついたこと+いい」を多用してゆきたい。 |