朝のスーパーにやってきた。開店10分前。2重になっている自動ドアのうち外側はもう開いていて、内側のドアの前に20人くらいの人が待っている。みなぎる緊張感…は、ない。みんな特に急いでいるわけでもなく、ただ手持ちぶさたに過ごしているぼんやりした空気だ。
そんな中、僕だけが緊張していた。他のお客さんの間をくぐり抜け、ちょうど10人目に入店するつもりだ。守りのキリ番から、攻めのキリ番へ。
10人目を正確にカウントできるよう、周りの人の人数を数えてウォーミングアップ。試されるのは動体視力と瞬発力。あとは、必ず10番を射止めるという、「気持ち」だ。 |