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ひらめきの月曜日
 
うどんとパンの昔を想像する

なにも入れないパン

作る手間で言えばうどんの数倍は面倒な気がするパンだが、それはあくまで「ちゃんと作れば」の話である。

出来上がった物がパンかどうかはさておき、今回も「昔はそうじゃなかっただろう?」と想像して強引に作ってみたい。


こっちには、ちゃんと「パンづくりに」って書いてある。
入れる物の多いこと!

だいたいパンは、卵だバターだドライイーストだと必要な材料が多すぎるんですよ。しかも「生地を2〜3倍に膨らませる」だの「30℃くらいの場所に置いて発酵させる」だの、細かな約束事もごまんとある。

きっちりしたことの苦手な私には、そもそも向かない作業なのだ、パン作りってやつは。


それでも挑戦してみよう。
うどんの時よりなめらかな気がします。
やっぱり手に取る古代人。
打ち粉もないままに、手で丸めてみた。

小麦粉だけでは膨らまないことは百も承知だ。

でも古代人だって、最初から酵母の存在を知っていたとは思えない。きっと何かの拍子に偶然発見したに違いないのだ。

「○○を入れたら偶然発酵しちゃったわ」だの「そしたら膨らんで柔らかくなったわ」だの、そういう逸話があるはずなんですよ。(だから、あくまで想像です)


2つに分けて、そのままオーブンへ。
低温でじっくり焼いてみる。

さすがに今回ばかりは、一体どんな物が出来るのか想像もつかない。「たとえどんなに不味くとも、食べられさえすればそれでいい」というレベルにまで志は下げた。

高温で焼いて表面ばかり焦げても困るので、120℃という超低温で50分ばかり焼いてみる。

これが妥当な時間なのかそうじゃないのか、それすらの判断もつかない手探り状態だ。不安になるたびに「古代人古代人」とつぶやく。


これで焼き上がりにしていいだろう。
鏡餅みたいにひび割れました。

うどんを食べて「硬い餅か?」と思ったのと同様、今回も見た目がなぜか餅っぽくなってしまった。

表面はカチカチだ。


皿にくっついて離れないので、ナイフで強引に剥がす。
裏はこんなことになってましたよ。

よく「パンの焼けるいい匂い」と言ったりするが、今回そんなものは一切ない。ほぼ無臭。

さて、中はどうなっているんだろうか。


アチアチ、と言いながら割ってみた。このサイズのパンにあるまじき重量感。
…これはなんだ?

中は…じっとりしていた。生焼けというか、なんと言うか、火は通っているんだろうけども、乾いてないというか…。


この密度。

いくら古代人でもはこれは食べてなかったんじゃないかと思うくらい、ダメな感じだ。もし小麦粉だけで作るとしても、もっと薄くするとか、何かしらの工夫をしただろう。

1個で十分だったので、残った物は油で揚げてみた。揚げれば何だっておいしくなるんですよね? 私、間違ってないですよね?


藁にもすがる思いとはこのことか。
きな粉のサービスまでつけた。

おいしくなったのは表面だけだった。ビスケットみたいな食感にはなったが、中身は変わらずジットリみっしりしたままだ。

どうやら、油さえ染み込まない物体を作ってしまったようである。

現代人でよかった

何ごとにも理由がある。そして昔の人の言うことは聞くものだ。

うどん、パンと「バカじゃないのか」と怒られそうな作り方をした今、改めて、心の底からそう思う。

モチモチしたうどん、フカフカのパン。当たり前のように食べていた物たちが、なんだかとても素晴らしく、奇跡の食べ物のように思えてきた。

ちなみに小麦粉といえばグルテンだが、詳しく説明されたホームページを何度読んでもきちんと理解出来なかった。バカなのかもしれない。とりあえず、今の私に言えるのは「小麦粉だけじゃ、ダメなんだ」のみである。

ああ、うどんやパンが手軽に買える時代に生まれて本当に良かった。

こんなに不味い物を作ったのは久しぶりです

 
 
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