懲りずにいきます

　 続いてトライしてみるガチャガチャを、同じ店の前にあったものからチョイス。よし、これにしよう。

　こちらの目玉商品はシースルートランシーバー。25mも交信できるらしい。よくよく考えるといらないが、そう言われるとなんだか欲しくなるという高度な訴求だ。

　シースルーというあたりを積極的にアピールしているのも、気になり度アップ。中のメカが見えるのだ。それはすごい。

　ガチャガチャ内部をのぞくと黒いカプセルがごろごろしている。今度のは黒が普通であるらしい。さあ、やってみよう。

　出てきたのは、ピストルの絵が描いてある金属プレート。キーホルダーもついている。

　ガチャガチャ正面には確かにトランシーバーの他にもラジオやキーホルダーが出てくるということが書いてあるので、予告通りの結果であるわけだ。

　問題は「トランシーバーが欲しかったけど、ピストルの絵が描いてあるキーホルダーもなかなかいいな」と思えるかどうかだ。気持ちの切り替えを試されているのだ。

　続いての２回も、出てきたのは同じシリーズと思われるキーホルダー。ピストルだけでなく、マシンガンもカバーしていることがわかった。

　ここまで立て続けに出ると、「集めてみようかな」などと、うっかり思ってしまいそうな気がしてくる。そんな気持ちの中、続いて出てきたのは微妙な変化球だった。

　登場したのは、中の空洞部分にサイコロが入っているプラスチックキューブのキーホルダー。説明に結構な言葉を費やした割には、だからなんだ、というくらいしか言うことのできない感じがすごい。

　次は５回目、このガチャガチャのラストトライだ。

　写真を見て、ちゃんと商品が撮れていないではないかと思った方もいらっしゃると思うが、そうではない。写真に写っている金色のものがカプセルの中に入っていた全てなのだ。

　登場したのは虚飾を廃したキーホルダー。不必要な要素を削ぎ落とした徹底ぶりがかっこいい。機能さえあれば夢やお楽しみはいらないのだ。

　こうした経験を経て、子供は「世の中は思い通りにならない」ということを理解していくのだと思う。

　まさしく「ザ・キーホルダー」。今回のように「残念な気持ちになろう」という意図的ないやらしい構えがあってなお、揺るぐことのない残念な感じ。

当たりが出たらダメなんだ

　期待通りの風が心に吹きすさぶが、続いては場所を変えてみよう。酒屋の前にいい感じのガチャガチャがあった。

　子供にはあまり縁のない酒屋だが、こうしてガチャガチャが置いてあると一気に親しみがわく。そうしたロケーションとは関係ないのだろうが、「煙のでるタバコ」というのが気になった。

　ちょっと背伸びしたい子供心をくすぐる商品だと思う。これはやってみたい。

　しっかりと「見本以外の商品も入っています」との表記がある。タバコのおもちゃが欲しいという思いと、今回の目的はあくまでハズレだという思いとの間で気持ちが揺れる。さあ、どうなるだろうか、ガチャガチャしてみる。

　…おお、いきなり当たってしまったではないか。

　かなりリアルな偽タバコ。今回求めているのはこんな成功体験ではない、と思いつつ、うれしい気持ちも隠しきれない。それにしてもよくできている。

　リアルな存在感だけでかなりのものだが、口にくわえて息を吐くと、けむりが出る仕様になっているらしい。

　口にくわえろという指示があるのに、「ぜったいにすわないでネ！」という注意書きは子供用のおもちゃとしてどうなのかと気になるが、100円でこの出来ばえとギミックはすごい。実際に吹いてみよう。

　…うわっ！　あまり期待しないで吹いてみたところ、かなりの量の煙が飛んだ。

　正確に言うと煙と言うよりは粉、だった気がする。あわてて写真を撮ったのだがうまく写らず残念だった。確かに注意書きの通り、あの粉は吸ってはいけない気がする。

　企画の意図からするといきなりの当たりは失敗だが、意外性は味わえた。続いてのガチャガチャでは、再びハズレの無念を味わいたい。