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フェティッシュの火曜日
 
水冷服でクールな夏を

いやこれが仕事なんですけど

 小学生にすら社会的立場を確認されるほど、そんなに僕は不審だったんだろうか。僕はこの工作がインターネットに載る予定で、それが僕の仕事であることを説明した。わかってもらえたかどうかは定かではない。

 そのあとその小学生は僕の隣に居座ってしまって、なぜか僕は小学生と一緒に公園で工作をすることになった。夏の日の昼下がり。夏休みが始まったばかりの子供はテンションも高かった。


ポンプの先にチューブをつなぐ。こんなかんじでつないでみるも
案の定、水漏れし放題

 僕がモタモタと不器用な試行錯誤を進める間に、小学生はいろいろと話しかけてくる。話の内容はこんな感じだ。

・いま小学校6年生
・学校ではまだ小島よしおが流行っている
・5年生の間では「ネタ」というのが流行っているらしいが、学年が違うので詳しいことはよくわからない
・夏休みの工作は紙でコマを作る予定
・そこのスーパーでワゴンのアクセサリー売ってるお兄ちゃんは、お母さんの友達
・カッターを使ったダジャレ「カッターを買ったー」
・タコ入道の絵描きうた教えてあげようか
・宿題を忘れたときは「やったけどわからなかった」って言う
・子供も大変だけど大人はもっと大変でしょ
・うちのお父さんは怖い

 最初はちょうどいいのでカメラマンになってもらったりしていたのだが、このあとお父さん怖いエピソードがいろいろと飛び出すにつれ、この状況はまずいのではと思い始めた。だってどう見ても、僕が怪しげなおもちゃで子供の気を引いているように見える。怖いお父さんがやってきた場合、「水冷服っていう大発明があってですね…」で今の状況を納得させられる自信は全くない。とりあえずデジカメに入っていた小学生の映っている写真を全部消した。これがリスクマネジメントだ。


隙間をエポキシパテで無理やり埋めます。これはこういう用途に使うものであってるのだろうか
パテが固まるまで待つこと1時間(photo by 小学生)

 そんな不安を知ってか知らずか、小学生は僕の周りを離れない。それどころか、僕のやり方にいろいろ意見も出してきて完全に共同制作の構えだ。

 そうかと思えば、僕が持っていたドライバーの磁力を利用して砂鉄を集めてみたり、落ちていた木の枝をコンパスにしてきれいな正円を描いてみたり、突然駆け出していってブランコの技を披露してくれたり。小学生は全く行動が読めない。写真が撮りたいというのでカメラを貸してあげた。


ブランコ(photo by 小学生)
くるま(photo by 小学生)

 小学生の撮った写真は素朴でいい写真だった。子供の目の高さから撮られているせいもあるかもしれない。意外な出来にちょっと目からうろこを落としつつも、そろそろパテも固まったころだ。もう一度水を通してみよう。


ポンプの電源を入れると…(photo by 小学生)
おお、水が出た!

 ポンプが吸い上げた水は、漏れることなくチューブを通ってタンクまで戻ってきた。水の循環実験に成功!


完成!(photo by 小学生)

 できました!これにて工作終了!

 って本当はぜんぜん完成してないんだが、怖いお父さんに見つかると嫌なので場所を移動します。小学生には「できたから帰るね」って言って別れた。ああ、ドキドキした。


 

 
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