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ちしきの金曜日
 
名物社員の喜びと哀しみ

このイメージ。パーッとね!

 

 「名物社員」という響きが好きだ。自分の名刺の名前斜め上くらいに「課長」「部長」みたいな感じで「名物社員」とゴシック体で刷りたいくらい素敵な呼び名!イメージでいえば『無責任シリーズ』映画で見た植木等、あの遊びも出来れば仕事も出来るというキャラ。社長や管理職とは違う立場で会社の顔でもある存在。ま、現実的な名物社員はアレじゃやってけないと思うけど。『釣りバカ日誌』のハマちゃんも同様。

とはいえ、タイプは違えど「名物社員」と呼ばれる人は存在する。だが「名物」というと響きはいいけれど、実際苦悩もあるだろう。ということで2人の名物社員にお話をうかがってきた。

大坪ケムタ



ロックな名物社員といえばこの人

当サイトには数多くのライターがいるけれど、本業を持ってる人も少なくない。というかそちらが多いのか。その中で、会社に所属していながらデイリーライター(映像メインですが)、さらに「趣味(本人曰く)」も有名という「名物社員」にふさわしい人といえばこの人だろう。


ご存じエアギタリスト、宮城マリオさん。

日本エアギター界の第一人者にして、プープーテレビでもおなじみの宮城さん。今年もエアギター予選を突破、サマーソニック2008での決勝大会に出場決定。「みんな応援よろしくな!オラに元気を分けてくれ!」宮城さんはそんな事言ってませんが、代わりに言っておきます。

とはいえ、エアギターで生計を為してるわけではなく、あくまでも本業は誕生から30年を迎える老舗・新宿ロフトはじめとしたライブハウス経営などを手がける(株)ロフトプロジェクト社員。同社のディレクターとして数々のDVDを手がけているのだ。「ハチャとゥリャンS」みたいな前衛的なのじゃない、もっとポップなやつ。


メジャーどころでは猫ひろしさんとか。
ちゃんとクレジットされてますよ。

ロフトに入社した時はエアギターはやってなかった(少なくとも人前では)という宮城さん。それが第一人者と認知され、TVなどで取り上げられるまえにはこういう経緯があったのだという。


「エアギタリストの人として有名になったのってデイリーがきっかけなんですよ。林さんと『微妙な仲の人とみかん狩り』って記事で知り合って、そこで『エアギターって知ってます?』って話をしたら『やってもらえませんか?』って話になって。それが『エアギター入門』って記事になったんです」

−−あー、最初はあくまでもデイリー内の話題だったんですねぇ。

「ただタイミング的に世の中でもエアギターが話題になっていって、しばらく『エアギター』で検索するとデイリーの記事が上位だったんですよね。それで注目されてテレビに出るようになって」

−−ルックスも記憶に残りますしね。

「髪型もその時たまたま伸ばしてて、ヒゲも『顎ヒゲは多いけど口ヒゲ伸ばしてる人いないよね』って冗談半分で長くしてたんです。でもいろいろ出るようになって切れなくなっちゃいました」


エアギタリスト前の宮城さん。普通のロック青年です。

わずか数行で「ヒストリー・オブ・エアギタリスト・マリオミヤギ(黎明編)」を語ってしまった感があるが、実は宮城さんはデイリーの手によって名物社員の階段を駆け上がっていったんだなぁ。そのヒゲをなびかせて。

ただ、これが普通の会社なら「我が社にあんな社員がいるのはいかがなものか?」という話にもなるけれど、そこは日本のロックをおはようからおやすみまでみつめてきたロフト、逆にこんな話へと展開することに。


「エアギター初めて一年目の時は一気にテレビ出たのもあって知名度上がったりして、それで会社の上の人も『宮城を売り出そう!』みたいなことを行ってきたんですよ。でも僕自身は『一過性のもので終わっちゃうんじゃないか』って当時は思ってたんで『そんなのいいですよぉ』みたいな」

−−でも日本大会だ世界大会だと広がっていって。

「でも、あくまでも趣味って形でやるようにしたんです。だから会社の仕事とはかぶらないように。ウチの会社もユルいというか優しい所があって『小銭稼いでるくらいはオッケーだから、好きなことやっていいよ』って」

−−でも平日でも出演する機会多いから大変ですよね?地方にも呼ばれたりしてますし。

「地方の時は二ヶ月か三ヶ月前に呼ばれるので、スケジュールを自分でなんとかすれば大丈夫ですね。自分で仕事管理して、自分で休み作れって会社なので。都内だったら昼間頑張って、ホワイトボードに『渋谷打ち合わせ』とか書いて、ライブハウスでワーッとやって『仕事あるんで』ってまた帰って仕事したり」

−−クラーク・ケントがスーパーマンに変身するみたいだなぁ。

「そんないいもんじゃないですけど(微笑)」


ロフトもロックなら、エアギターもロック。イメージとしては全く問題ない。そういう判断もあって、宮城さんの「名物社員化」は特に不問となったのだろう。エアギターの予選大会もロフトグループのお店でやってたりするし。プラスにこそなれマイナスはない。

ただ、ちょっとしたアーティストより有名、というのは一スタッフとしてはやりにくいのでは?


「あくまでも本業は裏方ですし、アーティストさんを撮る仕事なので、距離をおいてやりたいんですよね。でもライブハウスで撮影しにいった時に突然『エアギターやってよ』みたいに言われたり。そういうのはちょっと困りますね」

−−スタッフでいても、アーティストより目立つことも多いんじゃないですか?

「それは僕のこの見た目も悪いと思うんですけど(笑)。やっぱりテレビは凄いなって思いましたね。いまだに自覚はないんですけど、予想以上に一般的に知られてる。不思議だな〜って思いますね」

−−では逆にやりやすくなったものって?

「なんかその、『はじめまして』って言った時に『知ってます!』って言われるのは、ちょっと人見知りで引っ込み思案な僕としてはありがたいところがありますね(微笑)」


別に宮城さんがエアギターやってなくても、それぞれのDVDの内容は変わってなかったかもしれない。でも、名物であることで人間関係が円滑になっているのならやっぱりプラスに働いてる。

とはいえ考えてみれば、その名物社員が相手にしなきゃいけないのもロフトをにぎわす名物バンドだったりするんだもんなぁ。「名物社員」と呼ばれるくらいのクセがないと、日本一のライブハウスを撮り続けることは出来ないのかもしれない。名物VS名物。

宮城さんをデイリーに連れてきた(結果的にエアギタリストとして有名にした、ともいえる)お台場カルチャーカルチャーの横山店長も立派な名物社員だしな。


呼んだ?

さて続いては、漫画家と会社員を兼務する名物社員の登場です。


もちろん「漫画の神様」ではありません。

 

 
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