いきなり大ヒット
私としては、ほんの手始めのつもりの、序章といってもいいくらいの物だった。それなのに。
結果は、2人の表情をご覧いただこう。
反応が良すぎて、こちらがうろたえたくらいだ。 私も「どれどれ…」飲んでみる。
分かる。うん。2人の興奮が分かる。
これは第8のビールとして認定してもいいんじゃないか、ってくらい爽やかな飲み物だ。炭酸がシュワシュワしてて、遠くで麦の味もしっかり感じられて、これはいい。酒を禁じられた人でも、ビール欲がある程度は満たされるんじゃないかと思う。
しかしいいんだろうか。中身は麦茶と発泡水だ。これだけでこんなに喜んではいけないんじゃないか?
カスタマイズ
どうせなら、もっと上を目指したい。もっとビールに近づきたい…と思った私を、誰が責められよう。
古賀さんが「うわあっ」と言う。あれ、おかしいな。だってビール酵母だよ? よりビールに近づいたんじゃないの? 違うの?
が、飲んでみて分かった。これはイカン。いかにも「胃腸薬」な味わいが前面に出過ぎている。
こどもビールを飲むのはみんな初めてで「こんなに甘いんですね」だの「アップルタイザーっぽい!」だの「泡がスゴイ!」だの言いながら、おいしくいただいた。
しかし、アルコールを一滴も飲んでないというのに、この宴会っぽい雰囲気はなんなんだろう。
いよいよ自信作、投入
カチコチに凍っていた濃縮麦汁がようやく溶けてきた。さっそく発泡水で割って飲んでみよう。なんせ市販の麦茶であの反応だ。これを使ったなら「第5のビール」も夢じゃない。
特許とか取っておいた方がいいだろうか。
ちゃんと「基準の何倍も濃い麦茶です」と断った上で、まずは原液の味をみてもらった。
これも、2人の表情が全てを物語っている。
さっきから、味の解説を写真で伝えてしまっているが、決して手抜きではない。それくらい2人の表情が素晴らしいのだ。説明不要の顔なのだ。
苦い!と言いながらチビチビ飲んでいると、大北さんが「いや、これおいしいですよ」と言い出した。キンキンに冷やされた濃縮麦茶は、言われてみればコーヒーのような味になっている。
結局「これウマイ!」を連発しながら飲む3人。待て待て待ってくれ。今日の目的は、これを炭酸で割ることにあるんだ。濃縮麦茶はコーヒー味だった、っていうオチじゃないんだ。…それにしてもウマイな。
しかしここから3人の表情が徐々に曇っていくことに、この時点ではまだ気が付いていなかった。