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フェティッシュの火曜日
 
ふんどしに甘酒がなぜか美しい祭り


今日はおけつが出ますが、本当に美しい動画があります

 まず初めに断っておきたいのですが、今日の写真はふんどし姿の男達がたくさん出てます。なので直接的に言うと、おけつも出ます。

おけつは出ますが結論として美しいになります。美しい動画をご覧になりたい方は次ページの頭からどうぞ。

ということで、埼玉県秩父市の裸の男達が甘酒をかけあう甘酒祭りに行ってきました。

(text by 大北 栄人music by 石川 大樹



深すぎる歴史がある祭り

甘酒祭りは736年に疱瘡が流行ったときに始まったらしい。

なぜ甘酒なのかというとこの地にヤマトタケルノミコトが来たときに甘酒(濁り酒)でもてなした、その後甘酒を飲んだり身を清めたりした者が病気にかからなかったので、疱瘡が流行ったときに祭り化したのだそうだ。

さてもう一つの重要な要素、ふんどしであるが、衣類を身につけていては「うまく甘酒がかからない」ということでふんどしであるらしい。本当か?「その方がおもしろいから」じゃないのか?とこちらは個人的に疑わしい。

その後甘酒かけは合戦にまで発展。別名甘酒こぼし。無病息災を願って毎年7月の後半に行われている。(この辺りの情報は参考文献より)


秩父市荒川にある猪鼻という集落で行われる

地方にある小さいが奇妙な祭り

会場となる熊野神社は埼玉の秩父鉄道の三峰山駅近くにある。駅からは歩いて15分程度なのでアクセスはいいのだが、最後の最後で電車の時間が合わず、結局最後はタクシーに乗った。

タクシーの運転手さんは「どこで行われるんだっけ?」「そんなに人も来ないですよ。」とそっけなくいう。実際の現場は60人程度の参加者と40人程度の観客(そのほとんどがアマチュアカメラマン)という小規模なお祭りだった。


看板とかじゃなくてもう石に彫っちゃうほど重大な祭り
お社の前に陣取ります

小さな神社の境内にぽつんと祭壇のようなもの。奥にある樽に甘酒が。

青年部の若い衆(し)の屈強なこと!
虚弱体質の石川さんはここに生まれたらすぐ死んでたろう、と

恐ろしく暑く荒々しい

7月27日は恐ろしく暑かった。山の斜面にあるが驚くほど風が吹かない。日はカンカンに照っていて蒸し風呂のようだった。

参加者含む地元の人には宴席が設けられていた。テーブルの上のものをガンガン飲んじゃってください!とふんどし前の男達にアルコールが入っていく。着替えはここでしてください、と開かれた宴席の隅でふんどし姿になる男達。あ、荒々しい!今日はものすごく荒々しい。

屈強な若い衆

今日は若い衆もたくさん来てるからな!と声が上がる。この若い衆がみんな頑強な筋肉の上にムッチリした肉をつけてて、一言で言えば全員むちゃくちゃケンカが強そうなのである。

正直なところ圧倒される。同行してくれた「かつて給食を毎回最後まで食べていた男」当サイト火曜担当ライター石川さんの目もおよぎ始めた。筋肉を前にすると萎縮する、それほどまでに私たちは弱っているのかと愕然とした。

石川さんは「この集落に生まれたら、きっと生きてゆけない。」と来世ギブアップ宣言をしていた。神様、どうかこの人の来世をアメンボかユスリカくらいにしてください。


これから男達がかけあう甘酒を飲む

始まる前に甘酒のふるまい酒があった。甘酒といっても「かす甘酒」ではなく、古来秩父地方では「麦甘酒」が一般的なのだそうだ。今回の甘酒も米と大麦で作られたもの。全体的に黄土色で麹なのかぶつぶつしたものが見える。

これを飲むとその年病気知らずである。しかも4〜5人が徹夜で番をして作られたものだそうだ。ありがたくいただきます。


これが甘酒。米と大麦で作られる
ありがたい流れをくつがえし、見事にコメントに困る味

「うまかねーんだよ、こんなもんはよ。」と

「別にうまかねーんだよ」と

前日に偶然玄米発酵酒というのを飲んでいたのだがそっくりの酸味だった。乳酸菌のすっぱさに、炭水化物のまろっとした甘みがして今までの甘酒と全く違う!違いすぎてこりゃ飲みにくい!

「どうですか?」とにこにこしながらお父さんが聞いてきて、えっ!?えーっ!?とただ驚くふりをしてやりすごそうとしたのだが、「別にうまかねーんだよ、うまいもんじゃねーんだよ、なあ!」と別のふんどし姿のおじいちゃんが助け舟を出してくれた。ただ、うまくはなかったが、その分ありがたさは沁みた。


あ、天狗!かっこいいなあ

アマチュアカメラマンの丘。今ここに地震が起こったら後に碑が建つのだろう。
おーいお父さーん!切られてますよー!

未来の自分がここにいる

開始が近づくにつれカメラマンの数が増えてきた。数えると30人はいた。「同じ埼玉だと、ジャランポンって知ってる?お葬式の祭りなんだけどおもしろいんだぜ…」と声が聞こえる。知ってる!ものすごく興味がある!(当サイトでも取り上げられた→こちら)年が離れているのに目線が一緒で未来の自分を見るようで恐ろしくなった。

「何?今日は何がおもしろいの?」「ケツがいーんだよなー!」とみもふたも無いことを言う。「酒蔵じゃねーけどケツがいーんだよ!」とまた言う。荒々しさはここにまで蔓延している。バランスをとるために帰ったらパッチワークキルト教室に申し込もう、とそのとき思った。

中二の小天狗の日常を想像しながら

花火が上ると祭りが始まる。天狗を先頭に神主さんたちが列を為す。この一団がお祈りをして、その後甘酒かけが始まる。

「小天狗はもう中2になって大きくなってます。」とアナウンス役のおじいさんが喋る。友人なのか中学生くらいの男の子が不慣れな手つきでカメラを構えて走り回っていた。「小天狗はもう中2だから小天狗とは言えない大きさになってます。」同じこと言っている。かわいくて仕方ないのだろう。

そういえば思春期真っ只中の男の子は甘酒祭りをどう思っているのだろう。天狗になる自分を誰かに自慢したりしてるのだろうか。

ところで大天狗の方はバッサバッサと無差別にカメラマンを切りまくっていて、何か可笑しかった。


ふんどし勢ぞろい。神主さんのお祈りに首を垂れ、粛然とした空気に。晴天だったのにこの時雷鳴が響いて驚いた。
うっかりカメラを持ってたためにTの字の先端にカメラが。今、シャッターを切ったら!?とドキドキした。

始まった!写真左の人、顔面に甘酒ビシャー!

 

 
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