最初に酢醤油とイチゴシロップが混ざった人工的にフルーティーな甘酢のような味が口に広がり、氷と一緒にサッと溶けていく。そして鼻には酸味、下には甘みが余韻として残る。
なるほど、さっぱりしてうまい。
この味はあれだ、駄菓子屋でよく食べたパックに入ったスモモの真っ赤な汁に近い。あの汁がとても好きだったので、このかき氷も好きな味だ。イチゴのシロップと酢だまりのバランスを一口づつ変えながら食べるのがとても楽しい。
もちろん好みにもよるだろうが、これを食べた後では普通の氷いちごが、甘いだけの単純な味に思えてしまってちょっと物足りない。かき氷の酢だまりは、寿司でいったらワサビなのか。といったらオーバーか。
ただ、確かにおいしいんだけれど、かき氷に対するイメージと味がなかなかマッチしないために、おいしいと感じるまでに時間がかかる。何も知らない子供に食べさせたら泣き出す。たぶん何回食べてもネイティブの山辺町民以外は、この違和感を感じ続けることだろう。でもその違和感がまた楽しい。
酢だまり氷が生まれた理由
酢だまり氷は思っていたより全然うまい。氷いちごに酢醤油はありだ。ありなのはいいとして、ではなぜこの山辺で酢だまり氷が食べられるようになったのだろう。
そこで山辺生まれ、山辺育ちの食堂のおばちゃんに話を聞いてみることにした。 |