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ひらめきの月曜日
 
“サザエの法則”で好印象を与えよう

意外な結果

最終的に1日会社でデスクワークや撮影などをしていたこの日、全部で7回「サザエの法則」で応対した。数えてみてその少なさにびっくりだ。パーティーかなにかに出席してたくさんの人に会えればよかったのだが、いやいや、このあいさつを試すにあたってややびびっていたということを考慮してどうか勘弁してください。

しかし、その7件からはっきり見えてくることがあった。なんと、おおむね私は好印象を与えていたのである。

まずはその7件のあいさつぶりをふり返ってみますね。



なんともいえない雰囲気というか……。やはり不自然といってしまっていいと思う。

途中、「サザエでございまーす」を軽く忘れてなにか新しいイントネーションを開発しているように思える回もあった。

そんな自己分析はさておき、相手の評判はどうだろう。そここそが今回の肝だ。

あいさつや電話応対のあと、少し経ってから改めて電話したり社内であれば会いに行ったりして私の応対の印象について聞いてみた。聞いたのは

1・さっきの古賀は好印象だったか
2・変なイントネーションに気づいたか

の2点。結果をそれらしくグラフにまとめてみた。サンプルが7件でもグラフにするとそれらしく見える魔法よ。


印象はどうでしたか? 変なイントネーションに気づきましたか?

結構気づいてないぞ

注目は例のイントネーションに気づいたかどうか、右のグラフ。なんと気ずかれてないが71%にものぼったのだ(といっても7件中5件なのですが!)。

「作業の合間に電話をとったので、いっぱいいっぱいで最初のあいさつに注意してなかったので……」

と、思いのほかスルーされていた。

よく、酔っ払って次の日後悔しているとき、誰も自分のことなんか見てないんだから大丈夫だい、と思うが、あれは本当にその通りだと思った。みなさん、酔っ払っても誰も見てないから大丈夫ですぞ!

うっかり好印象まで与えてる

さらに、なんと好印象まで与えていることがわかった(7件中3件)。

「おお、元気だなって思いましたよ。そうですねえ……たとえば、100年来の友人に迎え入れられたような感じがしましたね。すごく好印象ですよ!」とまで言ってくれたのはイメージマジックの谷さん。マジですか。


こんなTシャツばっかり作ってもらってるのにすみません

グラフから分かるのはおおむね

「あいさつの変さには気付かないが、印象はよい」

ということ。つまりこれは……すげえ! サザエの法則、すげえ! ということではないだろうか。

見えてくる大人の気遣い

うおおお、もしかしてこれから毎日このイントネーションであいさつしていけば、私は相当にモテモテになるのではないか?! 手から汗がにじんできたところで、レストランの店員さんに感想を聞いたときのメモが目にとまった。

「えーっと、イントネーションには気付きませんでした。でも好印象でしたよ。お客さまはみなさん好印象ですから!」

……おや? なんとなく、見えてくるのはこの店員さんの気遣いだ。優しい。

確かに、客に「今、わたし印象どうでしたか?」と聞かれて「なんかおかしなイントネーションでめんどうなお客さんが来ちゃったなって思いました」とは言えないだろう。


この店のパスタは900円で100gから200gまで増量可能。そこからして大好印象だ

ライター小野さんの感想もみてみよう。

「もしかして、電話の相手を僕じゃない誰かと間違えてるのかなとも思いましたね。でも元気だなあって思いましたよ。好印象でした」

小野さんも、優しい。でも「相手を間違えてるのかな」というのはつまり「いつもと違う」ということだろう。あっ、つまりそれは「なんか変でした」ということなんじゃないか。


撮影中の小野さん(この日の撮影の模様は後日小野さんの記事で)

好印象といってくれる人が好印象

気付いたのは、「好印象でしたよ」と言ってくれる人の印象のよさだ。なんだかすごく好印象である。好印象を与えるはずが、逆に与えられてしまった。

あいさつに「サザエ」という言葉を入れたいだけで調査対象になってしまった魚屋のおじさんも優しかった。事情を説明した後、「サザエ」という言葉を言いたいがためにサザエを注文したと知って、

「じゃあ、今日ならサザエ買うより絶対ホタテだよ。今日のホタテはうまいよー。いつもより安いしね。直火で焼くのが一番うまい。お宅、直火で焼ける?」

と、お買い得商品を勧めてくれた上に丁寧に焼き方まで教えてくれたのだった。私のほうが好印象を与えられた上に営業までかけられている。

営業のプロに付け焼刃のサザエの法則はかなわなかったということだろうか。


そうしてホタテを買った

元気にあいさつ、人には優しく

分かったことをまとめよう。

確かに「サザエでございまーす」を意識すると、あいさつのテンションがあがるということは分かった。イントネーションまでサザエに影響を受けてしまった私であるが、にもかかわらずなかなかの好印象を与えられたのだからすごい。

あいさつは元気よく。人にあいさつをして私もずいぶん経つが、なるほど改めて元気なあいさつは大切だ。

分かったこと(1)
 サザエの法則は、好印象を与えるのに役立つ

 つまり、あいさつは元気良く

そして、人には優しく、である。今回、あいさつの感想を聞いたり顔写真を撮らせてもらったりしたがみんな優しいのだ。優しいと嬉しい。

分かったこと(2)
 人には優しくしよう。優しくされるととっても嬉しい。

当たり前なことを分かりやすく思い出させてくれる「サザエの法則」。うまくつかえば飲食業界を限らず応用できるかもしれない。

さて、それにしてもやっぱり変だった私のイントネーションはというと、翌日にこんなエピソードが待っていました。



そして翌日に判明したやっぱりな真実

サザエを意識して過ごす1日は終え、翌日。いつもどおり作業をしていると電話が鳴った。すっかりサザエの法則のことを忘れていつも通り電話に出る。「はい、ニフティでございます。」相手は外出していた上司の鶴久さんであった。開口一番、こう言った。

「あれ、昨日の変なあいさつはもういいんですか」

変なあいさつ……変なあいさつ……変なあいさつ……。やっぱりかい!

鶴久さんも大変に大人で優しい方なので、もちろん冗談で「変な」という言葉を使っているのだが、あまりにも「やっぱりかい!」という感じで逆にほっとしてしまった。

後で聞いたら、隣の席の編集部橋田さんも

「突っ込んでいいのかどうか、相当迷った」

とのこと。先方には好印象でも、身内には微妙な思いをさせていたようです。

それでもせっかくなのでふいをついてあのイントネーションは使っていきたいとも思う

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