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ひらめきの月曜日
 
国産1号機の洗濯機を見た
東芝科学館には国産1号機の洗濯機があるらしい


機械の進化といえば、現代ではパソコンや携帯電話やデジカメの進化に目がいきがちだが、湯沸かしポットだって、こたつだって、炊飯器だって進化を繰り返している。

なんでいきなりそんなことを書いたかというと、先日東芝の最新型の洗濯機を取材する機会があった。洗濯機なのに冷暖房機能付きのもので、脱衣場を温めたり冷やしたりするそうだ。

何がすごいって、東芝が日本で初めて洗濯機を作ったのは1930年。今から78年前だ。それが、今も毎年新しい洗濯機の型が生み出されているのがすごいと思ったのだ。いったいどこまで進化をすれば気が済むのか。

78年も経って、まだ進化の余地があることが驚きですが、東芝の人がいうには、東芝科学館には、1930年に誕生した国産1号機の洗濯機が展示されているという。最新も気になるが、最古も気になる。

気になったので見に行ってくることにした。

(text by 梅田カズヒコ



科学館には東芝1号機ものがたりと呼ばれるコーナーがあった。洗濯機に限らず、さまざまな『1号機』が展示されている

川崎市の東芝科学館の“東芝1号機ものがたり”へ

僕はライターなんていうちゃらちゃらした仕事を行っているが、それでもたまには、人の役に立つような業績を残したいと漠然と思ったりもするのだ。でも、僕のしている仕事が誰かの役に立っているとはあんまり思えない。

一方、電話を発明した人はどうだろう。パソコンを初めて作った人はどうだろう。新幹線の速度を速くした人はどうだろう。人々の役に立っているではないか。もちろん、洗濯機を作って普及させた人だってその例に漏れない。全国津々浦々で、今日も誰かの家事を手伝っている洗濯機。それを開発して、広めた人はすごいと思う。

僕はそういう人になりたい。なりたくてもなれないから憧れる。洗濯機の発明者は日本人ではないが、国産1号機の洗濯機を眺めてあやかりたいのだ。

で、件の洗濯機が展示されている、という“東芝1号機ものがたり”にお邪魔しました。

前置きはいいのでとりあえず国産1号機の洗濯機を見せてくれ。


ばーん、これが日本最古の洗濯機『ソーラー電気洗濯機』だ!!

 

当時のチラシ。イラストが味がある。

まだまだ脱水なんて機能は夢のまた夢だった

上の“米とぎ機”みたいなのが、国産1号機の洗濯機である。これが日本の洗濯機の歴史の初めだ。君の家の洗濯機の元をたどれば、この洗濯機にたどりつくわけだ。

仕組みは、ドラム(と呼んでいいのか?)の中にあるかき回すものがぐるぐると回転し、グラスの中のマドラーのように水をかき回すという代物。

一方、上についたものは、察しがつくかもしれないが、白いローラーが回って脱水を手伝ってくれる。今は自動で脱水を行ってくれるが、当時はもちろんそんな機能もない。正直、今から見れば不便極まりない洗濯機である。

それでもこの洗濯機、当時の庶民にはあこがれの品だったらしく、一部の上流階級を除き、一般家庭に普及するのは難しかったらしい。

僕は思う。今の洗濯機は脱水があたりまえで、価格も物価を考慮すればこの当時の洗濯機より格段に安くなった。この当時の人々から見て、今の暮らしは夢のまた夢の世界なんじゃないかと。

人生にいやなことが起きたら、この洗濯機を思い出して、このころから比べたらずいぶん便利な暮らしをしていて幸福だと思うことにします。

 

動画も撮ってきたよ

なんと、東芝さんのご厚意で、そんな1号機を実際に動かしてくれることになった。僕が文章で説明をする前に、動画を見ていただいたほうが早いだろう。

国産1号機がまだ動くことが驚きだが、はっきり言って雑な洗濯機だと思った。セーターとかはびろんびろんに伸びてしまうかもしれない。

興味のない人には恐縮だが、僕はこういうのを眺めているのがすごく好きだ。この科学館のこのフロアには、洗濯機以外にもさまざまな1号機があるという。さっそく見ていくとしよう。


 

 
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