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ロマンの木曜日
 
八戸の味 バナナサイダー
バナナサイダー

バナナサイダーというのをご存じだろうか。
青森県八戸市の八戸製氷冷蔵株式会社という企業が作っている、みしまバナナサイダーという商品名の、いわゆる「地サイダー」だ。
地サイダーとは、分野調整法という法律で大企業が参入を控え、地域の産業として守られている中小企業が製造しているサイダーのことだ。
全国各地に地サイダーはあるが、「バナナサイダー」という、なんとも甘くてすてきな響きに惹かれていて、いつか飲んでみたいと思っていたのだが、ちょうど青森に行く機会があったので、その工場を見学させてもらってきた。


工藤 考浩




三島の名水

八戸製氷冷蔵は八戸駅から八戸線で5駅先の白銀というところにある。
駅前には三島神社という名前の神社があり、この付近の湧水が「三島の水」と呼ばれる名水なのだそうだ。
バナナサイダーもみしまの名がつくとおり、この湧水を利用して製造されている。


三島神社はりっぱな神社です

のどかな雰囲気の町

観光客はいない

駅をおりて数分歩いたところに八戸製氷冷蔵の工場があった。
工場の外観に時代の積み重ねを感じる。
この工場で作られるサイダーはうまいに違いない、そう思わせるような味わいのある工場だ。


うまそうな工場

氷の文字が入った門


話を聞いた

受付を訪ねると、さっそく工場長を紹介していただいた。
バナナサイダーに興味があって工場におじゃました旨を伝えると、工場長は「バナナサイダーはうちでは新しい商品だから」という。
調べたところによると、発売は昭和30年代なはずだ。
50年も前の商品を「新しい商品」だというのだ。
「うちは三島シトロンというサイダーを大正11年から作っているから、バナナサイダーは新商品なんですよ。」
なるほど、80年の歴史に比べたら50年前のは新製品。
東北の方らしいやさしいユーモアだ。


バナナサイダーは新しい製品です

工場を案内してもらう

この工場は昭和36年に起きた白銀町の大火の後に、サイダーの製造設備をこちらに移設して以来、操業が続いているという。
ちょうどバナナサイダーの歴史と同じくらい続く工場は、決して最新の設備ではないが、いかにも人間が機械を動かしている感じがする。


出荷を待つサイダーは全国各地から注文があるそうだ

設備もおいしそうな工場

この工場では、フル生産で一日5000本ほどのサイダーが作れるそうだ。
しかし、工場の人たちが、製氷や冷蔵倉庫の作業も兼務しているため、丸一日生産することはないという。
この日も午前中に製造を終えていたので残念ながらその工程を見ることはできなかったが、工場に並ぶ機械はいかにもおいしいサイダーを作ってくれそうな、あたたかい機械たちだ。


ここでシロップと炭酸水を調合します

歴史を感じる機械が並ぶ。これはラベルを貼る機械

八戸製氷冷蔵株式会社
青森県八戸市白銀1丁目8-1
Tel : 0178-33-0411(代表)
Fax : 0178-33-0412


地元のスーパーで購入

工場を見学させてもらったが、この時点で僕はまだバナナサイダーを飲んでいない。
せっかくだから、地元のスーパーで、八戸の人がそうするように普通にサイダーを買って飲みたいと思ってがまんしていたのだ。
工場長に、バナナサイダーが売っているお店を教えてもらい、買いにいった。


ついに入手

 

 
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