山伏が吹くホラ貝の音はでかい
21時、出発の時間となり、まずは敷地内にあるお堂へと全員で移動。我々一般参加者も含めて全員で般若心経を唱える。
唱えるといっても私にはキリスト教の賛美歌並みにわからないので、手を合わせてハニャハニャつぶやいているだけなのだが、きっと気持ちは伝わるはず。正直みんながどんなことを祈っているのかがよくわからないのだが。旅の安全とかだろうか。
我々はじめて修行に参加するメンバー全員の目が泳いでいるのがよくわかる。
ここで驚いたのがホラ貝の音。先ほどお話を聞かせていただいた方が吹いたのだが、ブオーーというその音は周辺の空気を振るわせるほどの音量で、ホラ貝がビジュアル面のかっこよさだけで使われ続けている道具ではないことを実感する。
そして本物の山伏達がが一斉に唱える般若心経は、聞いていてなんだかドキドキしてくる。緊張感がすごい。やっぱり俺場違いだ。
そんなことを実感したところで、バスに乗っていろは坂を越えて、修行の場である二荒山神社へと向かう。
バスでいろは坂なんていうと思いっきり遠足チックなのだが、あくまで修行なのである。
修行の場はお祭りの場になっていた
バスに揺られて一時間半、少し乗り物酔いをしはじめた頃に二荒山神社へと到着。
この神社は修行の場であると同時に、地元の方と修験道のつながりの場でもあるらしく、修行の日程と合わせて、男体山登拝祭という祭りが開かれており、私達が着いたときには終わっていたが、盆踊りや花火大会が行われていて、夜店がたくさんでていた。
正直なところ、修行よりもこっちの方が好みである。とはいまさらいえない。
登拝門が開かれる
この修行は、8月1日の午前0時に男体山の登拝門が開かれるのに合わせて山を登りはじめ、山頂で御来光(日の出)を拝むというものらしい。
ちなみに男体山は日光で一番高い山で、その近くに女房役の女峰山、そして二人の息子である太郎山という山があるそうだ。
今日の日の出が4時半くらいだから、これから4時間半の山登りをして、さらに登った分だけ降りてくるということか。ぐへえ。
この修行は登拝料の1000円さえ支払えば誰でも参加できるオープンなイベントなので(でなかったら私も参加できてない)、開門を待っているのは山伏や受験生みたいな鉢巻きをした修行関係者だけでなく、普通に登山を楽しもうという人達も多い。
神主様の祈祷を見ながら、小学校の頃に流行っていた孔雀王というマンガを思い出していた。ホラ貝がブオーブオーと鳴って地獄門、ではなくて登拝門が開門した。
さあ退魔業、ではなくて夏峰のスタートだ。
うーん、どうにも変なスイッチが入ってしまったようだ。無事に帰ってこれたらマンガ喫茶にいって孔雀王を読んでこよう。