トンネルの出入口、その上の部分はどんなふうになっているのだろう。「山でしょ」といわれればそれまでなのだが、なにかこう、あるんじゃないだろうか。よしんばなにもなくたって、トンネルを出入りする車を上から眺めるだけでも楽しそうじゃないか。 高いところが怖いくせに、トンネルの上を覗きにいきました。
(櫻田 智也)
トンネルその1
のぼりたいのです。といっても階段がついてて簡単に、というわけにはいかない。
設けられた左右の壁は急勾配すぎる。ぼくみたいにのぼりたいと思う人間がいるからか。
真っ向からは無理
迂回しないで山を越えるためのトンネルの上にのぼるために迂回をするぼく。
迂回して通っているのが人さまの畑なのでさっさと通り過ぎたいのだが、ついつい虫トラップにひっかかってしまう。 やっと畑を抜け、なだらかな斜面をトンネルのほうに折り返す。
いきなり険しい表情
険しいというか、すでに焦点が合っていない。日頃の運動不足ここに極まれりである。 足もとのみえない草むらをじょじょにのぼっていくと、緑の合間から道路がみえてトンネルに近づいていることを実感するが、いきなり足もとの地面が消えて落ちやしないかという恐怖もうまれてくる。
お、道路が見下ろせる
気づけばトンネル入口よりやや高い位置にいた。おりていこうとすると、堤防のような構造が段差をつくっている。
けっこうな落差
トンネルの上にはなにかあるのか
トンネルの出入口の真上にやってきた。草がやや少なく、かつて人の手が入ったことがうかがえる。 端っこの、コンクリートの部分ぎりぎりに、頼りない柵が設けられていた。
高いところが怖いぼくは、写真でもわかるとおり、へっぴり腰でしか近寄れない。じゃあなんでのぼってきたんだ、という話なのだが。
さて、ほかに上にあるものはといえば、
溝
乾いてはいるが、水路のようだった。溝はトンネルの両脇から地面へとつながっていた。これなら走る車に入口のところで水が降りそそぐことはない。
そして、先ほどおりてきた堤防のさらに上はというと、
立て看板のひとつもないかなと思ったのだが、見当たらなかった。