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フェティッシュの火曜日
 
桐タンスってこんなに手間がかかってたのか!


この丸い器具はなーんだ?

「桐タンス」。桐タンスについて、私達は何を知っているだろう。

・家紋の入った豪華婚礼3点家具とか
・バス停のベンチに「桐タンス再生」の看板を見かけ「桐タンスって再生できるんだ」と思ったりとか
・防虫・防湿に効果が高いので、タンス以外にも米びつに桐が使われているとか

一般人のコンセンサスは、そういったところだろうか。

漠然とながらも「何かすごいらしい」桐の家具。そんなイメージを抱いていたある日、その生産地に行って実際の製造工程を見られるという機会に恵まれた。

喜んで見に行った。そしてそこでは、想像を絶するすごいことが地味に行われていたのだった。

日本人をあらためて尊敬したこの日―。

乙幡 啓子



渋抜きだけで数年・・・

訪れたのは新潟県は加茂市。上越新幹線「とき」で東京から約2時間、燕三条で降りる。

日本全国に桐タンス生産地は数あれど、原木から製材、そしてタンス製造まで全てをカバーできるのはここ加茂だけ。国内生産量の7割を占める、桐タンスの一大産地だ。

今回同行するのは、デザイナーの友人・平社(ひらこそ)氏と吉尾氏。「加茂箪笥協同組合」から依頼を受け、加茂の桐を使った家具のデザインを世界に発信している。その縁で今回の取材が実現した、というわけだ。


広く青い新潟の空、そして朝倉家具さん遠景。

桐タンスの製造工程をなぞりつつ、驚きの技術をクローズアップしつつお送りしていこう。お邪魔したのは朝倉家具さん。

まず目にしたのは、ショールームに隣接する敷地内いっぱいの、板・板・板。


ラジエーターとかルーバーを思わせるメカニックな光景。

別方向から見たら、まあ、こんな感じです。

大きな板から小さな小さな板まで、木目に沿って原木から効率よく切り出した板たち。

「原木から製材したあと、このように天日に干して“渋抜き”をします。“渋(しぶ)”という、木のアクのようなもの(正確には樹脂)を抜くためですね。抜いておかないとあとから変色して真っ赤になってしまったり、木に狂いが生じてしまうんです。」と朝倉さん。


「6/2 干す 十日町」。
こちらは北米から来マシタデース!ということか。

上の写真でもわずかに灰色の部分が見えるが、これを2〜3年(!)もの間、定期的に掛け替えたり裏返したりいろいろ手を入れつつ寝かせる(そのための、上のマーカー印である)。すると、下左の写真のように一面の灰色に変色してくるのだ。


この表面が渋である。
それを削ると、あの桐の白い木肌がお目見えだ。

渋を抜くのに何年も待つのか・・・。するとこの板たちも、まだ2夏もここにいるのか・・・とすっかり気が遠くなっている間に、いよいよ工場へと通される。「お、いよいよ家具に組み立てる工程かな?」と思うでしょう。思いますよね。


こんな機械も見せられたらワクワクですよね(これは曰く「ズボンプレッサーのようなもの」とのこと)。

 

 
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