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フェティッシュの火曜日
 
大阪湾のアーチ型水門

街中に忽然と現れる巨大水門

大阪湾には、高潮から街を守る防潮水門が数多く設置されています。

その中には、日本でここだけにしかない巨大なアーチ型の水門が3門もあって、全国の水門好きが羨望の眼差しを送っています。

水辺の構造物好きとしては外せない物件。前から見てみたいと思っていたので、大阪で用事があったついでに時間を作って、3門とも見てまわってきました。

萩原 雅紀



大阪都心の超ローカル線

まずは、難波や道頓堀の繁華街、いわゆる「ミナミ」から1kmくらいの場所にある南海電鉄の汐見橋駅へ。そこから電車に乗って2駅の木津川駅で降りて少し歩いたところにある木津川水門に向かいます。

大阪にはほとんど来たことがないので、地理とか地名とか鉄道路線などについて僕はまったく無知でした。繁華街にある私鉄のターミナルを想像していた汐見橋駅は、目の前を通る都市高速やすぐ近くで賑わう地下鉄駅の周辺とは裏腹に、小さくて薄暗い駅舎にホームが1本だけ設置され、そこに2両編成の電車がぽつんと停まっているという、何とも不思議な雰囲気。

ちょうど発車ベルが鳴っていて汐見橋駅の写真を撮る時間がなかったのですが、僕のほかに乗客のいない電車に乗ってたどり着いた、水門最寄りの木津川駅も似た雰囲気で、利用者の気配がほとんど感じられない、不条理ドラマにでも出てきそうな小さな駅でした。


すごく旅情をかき立てられる光景ですが ここでもまだ道頓堀から直線距離で2kmくらいです
ダイヤは1時間に2本! 何もない駅前の通り

駅前通りには人影どころか商店の1軒もなく、この日はうだるような猛暑だったこともあって、なんだかおかしな夢を見ているような気分になってきました。

自動販売機で冷たい飲み物を買って一服。気を取り直して水門へ向かいます。

 

木津川水門

小さな町工場や倉庫などが建ち並ぶ細い道を少し歩いて行くと、先のほうに巨大なアーチがそびえ建っているのが見えてきました。

想像していたよりでかい!


かっこいい工場の壁 見えてきた!

早足でさらに近づくと、道の片側の建物が途切れて木津川が現れ、目の前に巨大な金属製のアーチが鎮座していました。これが木津川水門です。


ほかのものに例えようがないくらい独特の形状

このあたりの「動かす仕組み」が気になる 真横から見るともはや何だか分からない

上に向かって大きくアーチを描きながら向こう岸まで架かっている巨大な構造物。

台風などで海面が上昇する恐れのあるときに、この緑色のアーチ部分が手前方向に90度倒れて川を塞ぎ、海からの逆流を防ぐことで堤防の低い川沿いの街を高潮から守るという仕組みなのですが、そんな用途や構造をあらかじめ知っている僕が見ても、目の前の巨大なマシンが実際にどう動くのかまったく想像がつきません。

何も知らない人が初めて見たら、いったい何だと思うのか、すごく興味が湧きました。

しばらくのあいだ真横からじっくり観察しましたが、どこか全景が眺められる場所がないかとあたりを見回すと、水門の少し上流に国道43号線の橋が架かっています。あの歩道からなら良く見えるはず、と思って行ってみることにしました。


画面奥が大阪湾でアーチは手前に倒れる

防潮水門にアーチ型が採用されたのは、一般的な水門で使われているローラーゲートでは通すことができない大きさの船も通るため、という理由と思われます。

そして、日本中でこの形式の水門が採用されているのはこのエリアだけのようです。ちなみに完成は3水門とも1970年。大阪万博に人々が押し寄せる傍らでこんなすごいモノも造られていたわけです。僕なら間違いなくこっちのパビリオンをめぐるな。


確かにかなり大きな船も通れそう

また、右側のほうのつけ根にある看板をアップにすると、次回の水門閉鎖の日の予告がありました。後で調べると年間のスケジュールが決められていて、月に平均で1〜2回は試験運転を行なっているようです。そんなに頻繁にこの水門が動くとは、すばらしいファンサービス!

というのはもちろん冗談で、それだけこの水門の運用が防災において重要だということでしょう。


これはファンサービスの一環でしょうか(なわけない)

それでは、そろそろ次の水門に向かうことにします。

ちなみに、アーチ型水門はすべて国道43号線がそれぞれの川を渡っているすぐ下流に造られているので、この歩道をずっと歩いて行けば残りの2つの水門も見られるわけなのですが、時間もないので近くの環状線の駅から電車に乗って、次の目的地である安治川水門近くの弁天町駅に向かいます。


 

 
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