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ロマンの木曜日
 
ざるに絵を描く

ここで軽いノウハウを

勢いで2ページめに入ってしまったが、なんてことはない、今回はざるに絵を描くというだけの話です。

ちなみに「ざるに絵を描く」をネットで検索すると、この記事を書いている時点では「知られざる天才の絵描き」みたいな結果しか出てこないので、つまりこの分野の先行者はいないということだろう。

いつの間にか歩いていたフロンティア。後からこの道を辿る人がいないとも限らないので、ここで軽いノウハウを残しておきたいと思います。

1.毛筆を使ってはいけない

絵を描くんだったら筆でしょ、と思いがちだが、じつは毛筆の先は網目に対して細すぎる。


うまいこと水滴が乗らない

 
なので、網目に水滴を押し付けるように使える筆が必要になる。いろいろ試して、ついに見つけた最適の筆はこれです。

これがそれ
本来の使い方はこう(被写体がぼくでごめん)

「アイシャドーチップ」というもので、女性のメイク道具とのこと。しかし、水の含みやすさ、大きさ、やわらかさ、どれをとっても、ざるに絵を描くために最高の条件を備えている。さあ、今すぐ化粧品売り場へ急ごう。

 

懐中電灯をつかっても面白いよ

ざる絵(=ざるに描いた絵)を映し出す場所は、何も食卓のテーブルでなくても構わない。部屋の電気を消し、懐中電灯を使って壁をスクリーンにしてみよう。


こんな風に水滴を乗せていって・・↓


懐中電灯で照らすと、こう→
「ライトを近づけると、もようも大きくなるのだ!」

ようするに影絵だ。だけど、懐中電灯の位置や角度をかえると、模様もまた違ってみえて面白い。

そもそも、水滴を網目にのせていく作業がまたとても楽しい。筆に水をたっぷり含ませ、網目にぐっと押して、ぱっと離す。するとドットが塗れる。プチプチをつぶすのの逆、とでも言うか、なかなか他にない感触です。

 

外でやるとすぐ乾く

よく晴れた日なら、外でお日様に照らしてもいいものです。


こう一列に水を乗せて・・


ベランダに出よう
ほら、くっきり。

しかし、悲しいかな、直射日光を浴びて水はどんどん乾いてしまう。


ありゃりゃ


ここまで乾くのに10秒ほど。こうドットが欠けちゃ話にならないので、ベランダ際の室内でなんとかひらがなをいくつか書いてみた。

 

色をつけてみよう

ざる絵を何かに投影せず、直接そこに色をつけて絵を描く、ということも考えられる。最後に、土管にもぐったりしながらお姫様を助けに行く例の彼を描いて見よう。


両脇に食紅入りのパレットを置いてのぞむ。
真剣そのもの。

イタリア生まれの彼です


できた。うまいこと例の彼に見えるだろうか。何のことをいっているか分からないとしたら、失敗である。

あっという間に描けたように見せてしまったが、ほんとうは3時間くらいかかっている。隣り合ったマスを違う色で塗ってしまうと、水が網目を乗り越えて色がにじんでしまう。だから間をあけて描く必要があったりして大変だった。

途中まで描いて、冷凍庫で凍らせたらいいんじゃないか、と思って実際に試したのだが、けっきょくすぐ解けてしまってだめだった。でっかい冷凍室にこもって、そこで描くのはどうか?・・意外にいけるかもしれないが、エクストリームすぎて一般向けではないようにも思う。

軽い思いつきだったが大変だった

ざるに絵なんか描いちゃったりして、と軽い気持ちではじめてみたが、やってみるとえらい大変だった。当初のもくろみでは、ざる一面にモザイク画みたいなのを描いたりしたらきれいなんじゃないか、とか思っていた。ぜんぜん無理だった。

楽しい部分は、ポンポンと目を押すようにして描いていけるということだろう。感触が気持ちいい。そして消すのも簡単だ。網目にティッシュを沿わすと、あっという間にきれいに消える。これはなかなか他の絵画手法にはない気持ちよさだと思う。

 

 
 
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