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土曜ワイド工場
 
罰金の相場感を知りたい

群馬の県庁があるところです

群馬県の前橋市までやってきました

都心との対比としてどこでリサーチしようか迷ったが、あまり中途半端な場所を選んで、微妙な結果が出るのも嫌だ。都心からそれなりに距離があって、地価が三分の一くらいの地方都市がいい。

ネットで調べてみると、群馬県の前橋市が条件に近かったので、翌日、早速訪れてみることにした。この街には月極駐車場の数が多いということもリサーチ済みだ。

本日のお買い得品、99円

ここでもまずは、キャベツの値段からリサーチ。麻布では、嬬恋産のキャベツが350円だったが、ここは地元産ということもあって、1個99円。三分の一以上の破格だ。ちなみに群馬の夏秋キャベツは日本一の生産量で全国に出荷されているが、地元でもしっかり消費されているようだ。

そして、ここ前橋は豚肉の消費量でも全国トップクラスを誇る。市では豚(TON)肉の町ということで「TONTONのまち、まえばし」というキャッチフレーズを掲げている。そんな前橋の名物料理といえば、地元の豚肉を使ったソースカツ丼である。

ブルドックソースみたいな素朴な味で、うまかったです

ご飯の上にキャベツを敷き詰め、その上に肉厚の揚げたてカツがど〜んとのっている。ご飯に染みるほどたっぷりとソースをかけていただく豪快な料理だ。カツの脂っこさとソースのくどさをキャベツが中和してくれてうまい。ちなみに前橋ソースカツ丼の相場は大体750円くらい。前橋に来たらぜひ食べてほしい一品だ。

このように前橋は大変魅力にあふれる街なのだ。駅前には大きなスーパーもいくつかあって住み心地も良さそうだ。ちなみに前橋駅構内に置いてあったマンションのフリーペーパーを見ると、280万円の物件があった。マンションも安い。

ちょっと早起きすれば、都心への通勤だって十分可能。
マイホームを買うならこんな街がいい。

 

前橋は1万円と、沖縄と同じ相場感

いきなり出ました1万円

さて、罰金に話をもどそう。事前のリサーチどおり、やはり前橋には月極駐車場が多い。一か月あたりの賃料は8000〜1万円というところで、東京都心部の五分の一くらいだ。

ということは罰金の額も五分の一と考えるのは単純すぎるだろうかと思ったら、本当に五分の一だった。うん、世の中けっこう単純だ。

弱々しい書体ですが、取るものは取るよ
「即刻」という文言に決意がにじむ
タイヤの空気を抜かれる。精神的には10万円くらいの痛手
ベコベコになった看板。罰金をとられた腹いせか?
川を越えるたび家賃が安くなるっていいますよね

ご覧のように前橋では1万円の罰金がスタンダード。この日めぐった市内30か所の看板のうち、20か所が1万円。上限は3万だった。
よって前橋の罰金相場は1万円といっていいだろう。
やはり罰金にも土地ごとの相場感があって、その駐車場の賃料と同等かやや上乗せした金額設定となっている。この説は正しいようだ。前橋に来て答えが見つかった。

…結論が出てしまったが、もう少しおつきあい願いたい。

 

玉のようにかわいいキャベツは158円也、麻布の半値以下

桐生へ移動

さくさくと進んでいる感じだが、実はここまでのリサーチで100か所以上の駐車場をめぐっている。地価により、罰金相場は変動するという望み通りの結果が出ているが、調べた数からいって、その信憑性は高いと思う。
そして、今のところ最安値は1万円。どうせなら1万円の壁を破りたい(罰金がどうのこうのというより、地域により移り変わる数字を追いかけているのが楽しくなってきていたのです)。

そこで前橋からさらに地価の安いところまで足を延ばしてみた。
上毛線で約30分、野を越え川を越えやってきたのは同じ群馬県の桐生というところだ。

まずは気になるキャベツ相場なのだが、ここでは1個158円だった。前橋より若干高くなっているが、向こうのは「広告の品」つまりセール品だったのでこの誤差はあまり気にすることもないだろう。セール品でなくても、麻布より200円も安いのだから。

 

1万円のオールワンプライス

やっぱり1万円

1万円以下の罰金を求めて桐生の街を歩いてみた。前橋より相場が高かったら、企画に矛盾が出るのでどうしようかとちょっとドキドキしていたが、やはり1万円が多かった。というか全部1万円だ。

最初に見つけた10か所すべてが1万円。前橋では2万や3万の看板もちらほら見かけたが、ここでは示し合わせたかのように1万円。地主さんの会議で規定でも定めたのだろうかと思う統一感だ。

「でーす」

この時点で前橋より相場感は安いことがうかがえるが、1万円の壁を破る看板は現れない。そもそも月極駐車場の数自体が前橋より極端に少ないのだ。1万円以下の罰金を見つけることができれば、僕はもう十分に満足して帰ることができて、おいしくビールが飲めるのに。ああ…それにしても今日は暑いなあ・・・。

気づいたら巨大なタンクを360°の角度から撮影したり、自分が身長3mの巨人になったという設定で、塀によじのぼって写真をとったり、まったく関係ない遊びをはじめていた。これはいかん。

暑さで朦朧としてきたので、気分転換にボウリングでもしようかと商店街へ。ところがここで探し物を見つけることができた。

 

うれしさのあまり記念撮影

とある眼科の駐車場にそれはあった

「当院に関係のない無断駐車は、金5000円いただきます」

でました! 最安値。これを見つけたときは本当にうれしかった。高い罰金を見つけるのはエキサイティングだが、安い罰金を見つけたときは興奮より安ど感が漂う。そう、安くて安心。安くてうれしい。

はたして、5000円の罰金は無断駐車の抑止につながるのだろうか。これくらいなら払ってもいいやとか思ってしまわないだろうか。もしかしたらここの地主さんは桐生の相場感を知らないのではないか。都合がつかなくて地主さんの会議に参加できなかったのかもしれない。

ともあれ最安値が出たところで、今回の検証を締めたいと思う。
最後に一言。みなさん、迷惑駐車はやめましょうね。

というわけで、やはり罰金にも相場感があった。
同じ罰金なのに5000円もあれば20万円もあるなんて、ずいぶんな話だと思うが、地価の高い都心では地主さんもそれに見合うだけの罰金を要求してくる。単純な市場の原理なのだ。

罰金というのは、意外と理にかなった設定になっていることが分かったわけだが、正直なところもっと法外な罰金というのも見てみたい。思わず笑っちゃうような。

500万円とか1億円とか、怒りむきだしのエキサイティングな罰金をご存じの方がいらっしゃいましたらぜひ教えてください。

麻布にはこんな看板もあった。相場の5万円の10倍としたら50万くらいか?ひえ〜

 
 
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