今日の段階で自由研究が終わってない人には粘土細工をお薦めしたい。粘土で人の顔を作ってみよう。似顔絵の立体版だ。ちょっと敷居が高いように感じるかもしれないけど、大丈夫。うまく似せるコツを伝授します。僕の言う通りに作れば何とかなります。さあ、まずは粘土を買いに行こう。
(text by 住 正徳)
ドリームクレイという粘土を使う
「粘土を買いに行こう」と言われても、どんな粘土を買えばいいのか分からない。きっと、そう思っているに違いない。僕も東急ハンズの粘土売り場で困ってしまった。実に色々な種類の粘土があるからだ。僕は店員さんからアドバイスをもらって、「ドリームクレイ」という粘土を買う事にした。良く伸びてひび割れしないからリアルな作品を作りやすいのだという。
冒頭で「うまく似せるコツを伝授します」なんて言っておきながら、ハンズの店員さんに教えてもらってる事に気付いた人もいるかもしれない。そう、僕も人の顔を粘土で作るのは初めてだ。
でも心配はいらない。ちゃんと作った後にこの原稿を書いているので、うまく似せるコツを随所に織り込む予定である。
用意する物の説明に戻ろう。
ドリームクレイは乳白色なので、色をつけるためには絵具が必要だ。ハンズの店員さんからアクリル絵具が良いと教えてもらった。
肌色と黒と白と茶色。この4色があれば大体大丈夫だ。
ドリームクレイとアクリル絵具、買い揃える物は以上である。 あとはモデルが必要だ。誰の顔を作ればいいだろう?
僕が選んだモデルは福田首相である。なるべく多くの人が知っている顔でないと、それが似てるのか似てないのか、学校の先生も判断に困ってしまうからだ。そういった意味で福田首相だったら問題ない。だって日本の総理大臣だから。
福田首相の顔写真をプリントアウトして見本とする。
制作開始
制作に入る前に、大切な事をお伝えしなくてはならない。粘土で人の顔を作る時に必要なこと、それは「モデルの顔を好きになる」ということである。対象物を愛してください。そうすれば自然と相手の特長が見えてくるはずです。 極端な事を言えば、技術的な部分はどうでもいいのである。「相手を愛する気持ち」、それが一番大事なのだ。
福田首相の写真を良く見ながら、ドリームクレイに肌色を混ぜていく。
肌色がいい具合になったら、次に顔の形を作る。 指先で粘土をこねて福田首相の面長フェイスを再現していく。
顔の形が整ったら、次に鼻をつける。
福田首相の顔を好きになると、鼻の形に特長があるのが分かる。小鼻が横に広がっていてどっしりとした存在感があるのだ。この鼻をうまく作る事が出来れば、福田首相の顔はほぼ完成と言っても過言ではない。
慎重に鼻を作っていく。
何度か試行錯誤を繰り返した後、なんとか福田首相の鼻が完成した。
一番のポイント、鼻がついてしまえばこっちの物だ。 あとの作業は流れるように進むはずである。
この下瞼も福田首相の特長である。ふっくらと膨らんだ下瞼も忠実に再現して欲しい。
何かおかしい。
ここまで出来上がっても福田首相を感じない。なんでだ?
あ、メガネだ。 福田首相といえば大きめのメガネが特長的である。鼻、下瞼もそうだが、一番のポイントはメガネだったのかもしれない。メガネをはずした福田首相を見た事がないので、この段階の顔に違和感を覚えたのだ。
メガネをかければ福田首相になるはずである。
これは誰だ?
福田首相の顔を愛した結果、こういう物が出来上がってしまった。 どの角度から見ても福田首相には見えない。
これを自由研究の成果として提出する訳にはいかない。
こうしよう。
モデルを変えてしまえばいいのだ。夏休みに遊びに来た親戚のおじさんを作った事にすれば問題ない。そうすれば、似ているかどうか判断のしようがないだろう。
あ、嘘です。 もう1回作ります。
今度はちゃんと福田首相に似せるよう、がんばります。