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ひらめきの月曜日
 
凍ってガッカリ野菜選手権


よく買う野菜たちで試してみます。

気がつくと、冷蔵庫の中で野菜が凍っていることがある。「ああ、またやっちまった!」と思う瞬間だ。

夏は庫内の設定温度を「最強」にしているのだが、ついそのまま秋を迎えてしまい、必要以上に冷えた空気が野菜を凍らせ「ああ、キュウリが凍みてるよ」というガッカリを毎年のように繰り返している気がする。

野菜室さえあれば解決する問題なのだろうが、悲しいことに我が家にはそんな高級な冷蔵庫を買う予定も予算もスペースもない。

でも、野菜って生のまま凍らせたらそんなにマズイんだろうか。もし「凍らせても大丈夫」だと分かれば、もう悲観することはないのではないか。

高瀬 克子



まずは凍らせNo.1野菜から

私の場合「やっちまった」率が一番高いのは大根だ。比較的長期間冷蔵庫に入れっぱなしなのに加え、その水分の多さも凍りやすい要因の一つだろう。


よくある一人用冷蔵庫。下の段は野菜室ではなく冷凍庫。
味噌もヨーグルトも野菜も一緒くたに入ってます。

しかし大根が凍った場合、おろしにするのは気が引けるが煮物として使う分には別段問題はなかったような気がする。「凍み大根」なんて物もあることだし。

ま、改めて確かめてみよう。


現在は主に保冷剤が場所を占領している冷凍庫。

実験にあたり、大根を冷凍庫に入れてわざと凍らせてみた。「ああ、ちょっと端っこが凍っちゃったなー」レベルではなく「全体的に完全に凍ってるなー」になるまで放置すること丸一日。

おかげで、ちょっとした凶器になりそうなほどにガチガチの大根が出来た。


凍った大根の皮をむきます。刃はスルッと入りました。包丁が曇るくらいの冷気。
左:凍り大根。右:生の大根。

芯まできちんと凍った大根は、まるで火を通した物のように半透明になり、なかなかに美しい。

さて、これを生の大根と一緒に煮てみよう。


どっちがどっちか分からなくなった。

「印を付けなくても一目瞭然だろう」と思っていたのだが、どうやらその考えは甘かったようだ。

こんなときは食べてみよう。食べればイヤでも違いが分かるに違いない。


まあ普通。
まあまあ普通。

「たぶんこっちが凍らせ大根だと思うんだけどなぁ」とは思うのだが、いまいち自信がない。見た目でお分かりかもしれないが「長時間煮すぎた」のも判断を難しくしてしまった原因のような気がする。

と、そのとき。


あ、筋。

どうやら凍らせた大根には筋が残るようです。他はまぁ概ね合格。大根に限っていえば、舌が大雑把な人には凍らせてもたいして問題はなさそうです。

 

これだけは凍らせちゃダメだ

続いて、秋口にかけてどんどんおいしくなるナスで試してみよう。これは凍らせた経験がないが、いつなにかの拍子に凍らないとも限らない。もしくはうっかり冷凍庫に入れ間違えてしまうとか。

その時のために、今から心の準備をしておこう。


こんな状態のナス、見たことがない(上は常温)
切り口はこんな。右の色の悪いのが冷凍ナスです。
皮をむきました。下の色の悪い皮が冷凍ナスです。
右上の色の悪いのが冷凍ナスです。(しつこいですね)

今回は焼きナスで食べ比べてみようと思ったのだが、皮をむく時点で「こりゃダメだ」となった。ブヨブヨで、うまく皮がむけてくれないのだ。

そしてなんといってもこの色。醤油で煮たのか? と疑いたくなるくらい、濃い色をしている。


恐る恐る口へと入れます。

ある程度予想はしていたが、予想の100倍はマズかった。反射的に「ペッ!」と吐き出したほどである。口に入れたはいいが、どう頑張っても飲み込むことが出来ない。

今では好きな野菜のひとつだが、実は子どもの頃ナスが食べられなかった。これは、当時感じていたナスの嫌な部分を凝縮したような味だ。しかもブニョブニョ。

何があってもナスだけは凍らせたらいけません。万が一凍らせてしまったら、ただただ泣きましょう。

 

次は問題なさそうだ

さっそく口直しといこう。


これは大丈夫そう。

 

 
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