千葉県の流山市から野田市を経て、柏市を流れ江戸川と利根川を水路で結ぶ「利根運河」という運河がある。 明治23年に完成した全長8キロにもおよぶこの運河、「利根運河株式会社」という企業が作った、私設の運河なのだ。 現在は運河としての機能を有してはいないが、いまでもしっかりと水をたたえている。 利根運河はどんなところなのか、端からはしまで歩いてみた。
(工藤 考浩)
全長8キロの運河
まずは利根運河がどこを流れているか、地図で紹介しよう。
地図だとなんてことはないただの川に見えるが、これが運河なのだ。 利根運河はそもそも、それまで東北方面からの物資を積んだ船が、房総半島をめぐらずに利根川から関宿というところまで上って、そこから江戸川を経由して江戸に向かっていたものを、利根運河を建設することでショートカットさせようという目的で作られたのだ。 その運河沿いを、今日は歩いてみようと思う。 まずは東京からつくばエクスプレスに乗り、柏たなかという駅で電車を降りた。
駅から30分
柏たなか駅は新しくてきれいな駅だが、駅前はなにもない。 駅を降りたらコンビニでおにぎりを買って、それをお昼ご飯にしようと思っていたのだが、コンビにもない。 新しい駅なので、これから開発されてゆくのだろうけれど、すっかり当てが外れてしまった。 駅から利根運河までは、地図で見ると2.5kmくらいだろうか、30分ほど歩いた。
暑い
9月はじめのこの時期なので仕方がないのだが、暑い。 歩くと汗が吹き出る。 このままでは運河に着く前にくたびれてしまいそうだ。 黙々と歩いていたら、清掃工場の向こうに水門が見えてきた。
やっと利根運河
水門を目指して歩くと、ようやく「とねがわ」という看板が見えてきた。 そしてその横には、河川管理境界を示す看板も。 ここが利根運河の始まりだ。 堤防の上に立つと、水が見えた。 これが利根運河だ。 もうすでに疲労を感じはじめてはいるが、運河沿いを8km、歩いてみよう。