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ちしきの金曜日
 
いつからプロ野球の順位に気づかなくなったんだろう?

今回はこんな映像ばっかです。

今セ・リーグでは阪神が優勝までマジック24ながら、巨人に詰め寄られてるらしい(9月4日現在)。それほどプロ野球に関心が強いわけでもない自分としてはふーん、という話だ。

しかし、自分が子供のころはプロ野球に興味がなくても自然といろいろ情報が入ってた気がする。誰が昨日ホームラン打っただの、誰が入団しただの。マジック点灯でもしたら毎日大騒ぎだ。しかし最近はそれほどの熱を感じない。周りに野球ファンがいないわけでもないのに。

そもそも昔のようにプロ野球をテレビで見ることが減った気がする。なぜプロ野球に触れる機会が減ったのか?今もプロ野球自体にはそれほど興味は持てないが、なぜ見なくなったのか?ということには興味ある。ということでテレビを手がかりに突き詰めてみたい。

大坪ケムタ



やっぱテレビはメインのメディアですから

「テレビのプロ野球中継は敵!」子供のころそんな思いだった人も少なくないだろう。楽しみにしてるテレビ番組が野球のせいで一週飛んだり、時間延長で遅くなったり。録画した番組が野球延長のせいで半分しか見れなかったよ!てな経験は誰もがしたことあるはず。

今もテレビでプロ野球中継はやってるけれど、その手の経験は減った気がする。昔はもっとウザったいくらい野球中継をしてた気がするけれど‥ということで、野球情勢に気づかなくなった理由を探る手として、自分の子供のころからのテレビ番組表を比較してみることにした。


1970年の8月から
2008年8月まで。

38年分の番組表を揃えてみました。飛び飛びですが。

さすがに全放映日程を調べるわけにはいかないので、70年から75年・80年・85年‥と5年飛びで、各年における今の時期、ということで8月最後の金・土・日の番組表を取り寄せてみた。いずれも朝日新聞縮刷版の番組表参照です。

そこからプロ野球の放映された時間を抜き出して、各年の数字を並べれば放映時間が減ってるかどうか分かるだろう。あくまでもサンプルではあるけれど。

ただせっかくなのでプロ野球だけでなく、いろいろな番組ジャンルの放映時間を色分けしてみた。他にもぐぐぐーっと時間が増えたり減ったりしてるのもあるだろうし。


ひたすら地味に
色分けし続けました。
単純だけど大変なんです、意外と。
時代が先にいくにつれ番組増えてくし‥。

プロ野球・プロ野球以外のスポーツ・ニュース・バラエティ‥などなど色分けして色鉛筆でカキカキ。この時点でいろいろ気づかされるけど、まずはプロ野球の件だ。

各年の金土日三日間における通算プロ野球中継放映時間は以下のとおり。年を追う事に放映時間が少なくなっていれば、見る機会が少ない→気づく機会がない、となるのだが‥。

8月最終金〜日の通算プロ野球中継放映時間


1970年 5時間48分(3番組)
1975年 6時間15分(4番組)
1980年 8時間22分(4番組)
1985年 7時間42分(5番組)
1990年 3時間57分(2番組)
1995年 9時間6分(5番組)
2000年 10時間27分(5番組)
2005年 6時間19分(3番組)
2008年 2時間33分(1番組)

一番多い2000年はアンディ・フグが亡くなった週末でした。
昔は深夜にも録画をやってましたね。これは85年。

なるほど、やはり予想どおり中継時間は減っている。そりゃどこのチームが勝った負けたとか気づかないや!ということで今回の証明終了‥つぅわけにはいかないですよね。もうちょっと納得する理由をみつけたい。

実際、8月最終金土日に関しては2000年をピークに下がってるけども、この週末がたまたまなのかもしれない。それに放映試合数が減ってるのは延長関係なく完全放送するCS局の存在からなんとなく分かっていたことだし。

では比較する意味もこめて、同期間におけるプロ野球以外のスポーツ番組の放映時間の変化は?

 

8月最終金〜日のプロ野球以外のスポーツ番組通算放映時間

1970年 13時間59分(12番組)
1975年 18時間30分(16番組)
1980年 13時間39分(8番組)
1985年 28時間22分(19番組)
1990年 23時間4分(16番組)
1995年 26時間40分(23番組)
2000年 22時間22分(16番組)
2005年 19時間25分(14番組)
2008年 14時間15分(10番組)

あれ?途中までは圧倒的に数字を伸ばしてただけに「多ジャンルが勢いを伸ばしたことでプロ野球の存在感が薄まった」という仮説が成り立つかと思ってたんだけど‥最後で一気に失速したなぁ。

圧倒的に多いのはゴルフ。あと70〜80年代はプロレス・格闘技も多い。途中からJリーグ効果でサッカーが増えるか?と思ったんだけど、この時期はほとんど試合無しなんだよね。

それにしても40年前から見ていくと失われたスポーツというのも結構あるもんだねぇ。


70年代はプロレスとキックの時代だなぁ。75年。
名前だけは知ってるローラーゲーム。75年。
これはスポーツじゃないよね。70年の番組。
闘牛もスポーツでいいですか?これも70年。

しかしプロ野球とそれ以外のスポーツ、さらにその他もろもろ色を区分けして塗ってて気づいたことがある。70年代から現在に至るまでドーンと増えたジャンル、それはニュースとスポーツニュースだ。


85年には6時台がニュースタイムに。
90年代には朝と22時以降もニュース中心に。

70年代はニュース番組というと長くて30分程度だったのが、現在は2時間近くなんてのも珍しくない。朝だと3時間くらいだし。ということで10年置きに見たニュースとスポーツニュースの移り変わりを調べてみると‥。

 

8月最終金〜日のニュース番組の通算放映時間


1970年 18時間20分
1980年 16時間20分
1990年 27時間55分
2000年 58時間55分
2008年 52時間20分

 

8月最終金〜日のスポーツニュース番組の通算放映時間


1970年 3時間55分
1980年 3時間25分
1990年 5時間25分
2000年 8時間50分
2008年 10時間50分

予想通り、90〜00年代を境にグイグイ増えてる!スポーツものという意味では「スポーツバラエティ」的なものも増えてるので、スポーツ選手を身近に感じる番組はもっと増えてるはず。

昔はテレビと新聞のポジションの違いとして、「テレビは実況を見るもの」「新聞は作るのに時間かけてる分、まとめた情報を見るもの」という違いがあったのだろう。でも今ではTVでニュースが大量に流れるようになり、新聞が出るまで待つ必要がなくなった。時間の無い中、食い入るように実況を見なくても一時間も待てばニュースでまとめて放映してくれる。そりゃ楽だ。しかし、あまりに早くどんどん情報が追加されていくと見たい情報も埋もれてしまう。

野球を見なくなった、というより情報量が圧倒的になったというのが正解なのかもしれない。むしろ増えた分、気を留めて見ることがなくなったというか。そもそも、今回テレビ(地上波)だけで分析しようとしてるけども、実際はインターネットをはじめ様々なメディアの広がりもあるわけだしなぁ‥というのは分かってはいたのだけど。

どえらい手間(しかも伝わりにくい)のわりにはぼんやりしたまとめになってしまいましたが‥なんかひとつテーマ決めてテレビ欄を見るとその脇道が結構面白いよ、という結論に換えさせていただきます。完全にすり替わってますが。


ワイドショーの説明がホラー映画ばりとか。

その裏ではテレ東で圧死事件が!。

「さよなら」なのにお笑い?わからない‥。

ジャンルでくくれないものも多い

先に書いたとおり、いくつかジャンルを色分けしてたんですが、最初は「芸能ワイドショー」だったのが途中からニュースの色を取り入れたり、1ジャンルではくくれない番組も多いんですよね。バラエティ番組の歴史なんかあらためてテレビ欄で振り返ると面白そうですが。それはまたいつか余裕のある時に‥。あと文中の多少の数字のズレはご勘弁ください!


 
 
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