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土曜ワイド工場
 
メンコ界の巨人に会ってきた


なつかしのメンコが続々登場しますよ

みなさんはメンコで遊んだ経験はありますか?

僕の場合はというと「経験がある」なんてレベルじゃなく
少年時代はそれこそメンコにあけくれていた。

今から20年ほど前になるが、当時住んでいた千葉県の新松戸というところでは、爆発的なメンコブームが起きていた。
日曜日(当時の小学校は週休2日制ではなかった)ともなれば、朝も早よから小さなメンコファイターたちが、わらわらと砂場に集まったものだ。

と、何故突然そんなことを言い出したのかというと、最近僕のメンコ熱を20年ぶりに呼び覚ます、とある情報をキャッチしたからだ。

群馬にメンコ界の大老ともいうべき人物がいるというのだ。

(text by 榎並 紀行



メンコ界の巨人に会いに行きます

その御大のお名前は斉藤今朝雄さん。53歳。
10万枚のメンコを収集している日本屈指のコレクターであるという。
地元・上野村では先だって「第一回・上野村めんこ選手権大会」が行われたのだが、大会で使うメンコを提供し、投げ方を指導するアドバイザーも務めたのが斉藤さんだ。

取材をさせていただくにあたって、事前に3度メールのやりとりをしたのだが、斉藤さんからのメールは全てにメンコの画像が添付されていた。「早くお前にメンコを見せたい!」 そんな斉藤さんの気持ちがビシバシ伝わってくるようで、僕もなおさら気持ちがはやった。


最寄り駅からバスに乗り、大老の家を目指す

1時間半後には、こんな景色が待っておりました

バスはグネグネとした山道を走り、周囲はみるみる自然に包まれていく。斉藤さんが電話で「遠くてビックリしますよ、何せここは東洋のチベットですから、ワハハ」なんておっしゃっていたが確かに秘境っぽい感じはする。何せここいらは日本で最初に恐竜の足跡が確認され、恐竜の骨が見つかったところなのだとか。

バスに揺られながら調べた情報によれば、
恐竜化石や足跡の展示物を紹介する博物館もあるらしい。

この時点で斉藤さんに会いたい気持ちを100とすると、恐竜を見たい気持ちも75くらいまで高まっていたが、今回は我慢だ。大老をお待たせしてはいけない。


で、こちらがメンコ界の巨匠・斉藤さん

玄関前で出迎えてくれた斉藤さんは、とても柔和で朗らかなお方なのだが、いざメンコの話になるとその表情は激変する。


いいか、メンコってのはなあ・・・
こうやって振り上げてだなあ・・・

ば〜ん!ってこうすんだぞ

 

斉藤さんはいかにしてコレクターになったのか?

斉藤さんのメンコトークは、のっけからアクセル全開。
こちらで色々と用意してきた質問も、挟み込む余地がないほどのマシンガンぶりだ。
本当に楽しいお話をたくさん聞かせていただいたのだが、ここでは要点をまとめて紹介しよう。

斉藤さんがメンコの収集をはじめたのは今から15年前。
きっかけは、地元に懐かしの玩具1万5000点を収蔵する「郷土玩具館」がオープンしたことだった。

そこで懐かしの玩具にふれた斉藤さんは、ふと少年時代に熱中していたメンコのことを思い出し、家中を捜しまわる。
ところが家にあったはずの大量のメンコはすでに処分されていたらしく、一枚も見つからなかった。

ないと分かるとなおさら欲しくなり、近所を駆け回ってメンコを捜してもらったところ、ある運命的な再開を果たす。
とある友人宅の倉庫から出てきた一枚のメンコは、かつての斉藤少年が勝負に負けて奪われたメンコであった。
当時の字で名前が書かれていたのだ。


これがコレクター人生の出発点となった思い出のメンコ

そのメンコに再開したとき、斉藤さんの脳裏に当時の懐かしい思い出がありありと浮かび、じんわりと温かい気持ちになれたのだとか。
メンコの魅力を再認識した斉藤さんはここから猛烈に収集をはじめ、今では日本一のコレクターを自認するまでになったというわけだ。

ちなみに、斉藤さんが今までメンコ集めに使った金額を合算すると、新車が2〜3台は買えるとか。一度に27万円使ったこともある。「奥さんに怒られませんか?」と聞いてみたところ、
斉藤さん、途端に口ごもった。野暮なことを聞いてしまった。


次ページからは、斉藤さんのメンココレクションを拝見 >
 

 
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