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ひらめきの月曜日
 
叩きまくるという調理法
これが本日の調理道具です。

「ぶっ叩いてやる!」もしくは「叩き切ってやる!」

どちらかを選べと言われたら、私なら迷わず「せめて、ぶっ叩くにしてください!」と懇願するだろう。刃物が登場するという点において後者は物騒すぎる。

しかし、これが料理の話となると途端に事情は変わってくる。多くの食材たちが「できれば叩かないで」と頼み込み「繊維が壊れるから、よく切れる包丁でスーッと切って欲しい」と希望するに違いない。刺身なんて、きっと土下座も辞さない勢いで訴えるはずだ。

果たして本当にそうなのだろうか。叩くことで、よりおいしくなる物というのも世の中には存在するのではあるまいか。いや、存在するのだ。


高瀬 克子



それというのもですね。

「キュウリは叩いた方がおいしいんじゃないか」と普段から思っているからで、論より証拠。まずは以下の写真をご覧いただきたい。話はそれからにしよう。


まずは包丁で切るバージョン。
塩で揉んだら水気を切って、
ラー油で和える。(ゴマ油を足してもいいですね)
所要時間1分。はい、もう完成。

これを見て「別にいいじゃないか。一体どこに問題があるんだ」とお思いのあなた。じゃあじゃあ、次の写真を見ても同じことが言えますか。

愛用のマグカップで叩くと、
このように割れます。
それを、やっぱり塩で揉んで同じように味付け。
…ほれ、ほれ!


ラー油の絡み具合に雲泥の差があることをお分かりいただけるだろうか。

あ、大丈夫です。スクロールして前の写真を確かめなくても、ちゃんと比較のための写真をご用意しておりますですよ。

表面を油が滑っている。
凸凹が油を堰き止めている!

どうだろう。「叩いた方がおいしくなる場合もあるんだなー。味が絡みやすくなるんだなー」ということに、ご賛同いただけただろうか。

唯一の欠点があるとすれば、叩くという行為によって流し台ごと大きく揺れる点と、ダーン!ダーン!という音が周囲に響き渡る点。それと、


たまにキュウリが飛びます。

前言撤回。全然唯一じゃなかった。

にしても、これらの欠点を補って余りあるおいしさを約束してくれるのが「叩く」という行為なのだ。ご理解いただけたものと決め付けて、次に進みます。


検証に使うのはゴボウです。
音がうるさいので、座り込んで作業。


階下に住人がいないことをありがたく思いながら、ゴンゴンとゴボウを叩かせてもらった。

それにしてもこの姿。「石器時代に逆戻りか!」と指摘したくなるのは読者の皆さんだけではない。私とて同じ思いだ。「これで裸だったら完全に原人だよなー」と自覚しています。包丁ってのは、つくづく洗練された調理器具ですね。

さて、ゴボウは無事に叩けたでしょうか。




 

 
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