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フェティッシュの火曜日
 
匙を投げる(カタパルトで)

 

で、本題です

 僕はとにかく怒ったので、匙を投げることにした。その怒り方ときたら半端じゃないので、普通に匙を投げたくらいでは全然おさまらない。

 そこでカタパルトの登場だ。カタパルトというのはいわゆる投石機。中世の攻城兵器のあれだ。ピンと来ない人のために絵を描いてみたが、わかったのはカタパルトのことではなく自分の画力のなさだけだったので、読者のみなさんは大人しくwikipediaを見てほしい。(wikipedia / 描いた絵)。

 たかだかスプーンひとつ投げるのにこんな文明の利器を登場させるあたりで、僕の怒りのすさまじさをわかってもらえるだろうか。しかもその「文明」が中世どまりであるあたり、僕がいかに怒りに我を忘れているかわかってもらえるだろうか。

 とにかく僕はおこったぞ!がおー!


で、材料

 さんざん怒りを強調しておいてなんだが、いきなり弱々しいパイプの登場。素材は塩ビパイプ。内径16ミリ、細めのチョイスとなっております。


まずは棒の先にT字の部品をくっつける
ステッキかゲートボールかという感じですが

これが脚

 ひとくちにカタパルトといっても、石を投げる原理によっていろいろ種類があるようだ。今回はトレビュシェットと呼ばれるものをつくる。テコの原理を応用して石を投げるタイプだ。例によって絵を描いてみたが、さっきよりひどいのでここは黙ってwikipediaを見てほしい。(wikipedia / 描いた絵

 このトレビュシェット、テコに乗せるおもりが重ければ重いほど投げる力が強くなる。しかしそのためには、加重に耐えられる丈夫な機体が必要だ。そこで重要になってくるのが材料で、丈夫な素材を使えばそれだけコストも上がる。強度とコストをてんびんにかけ、緻密な強度計算により材料を選定する必要があるのだ。

 今回は、家に16ミリのパイプが余っていたので迷わずそれを使用している。


てんびんの軸を受けるパーツ
脚に取り付け

脚が倒れないように横方向にもパイプを
てんびんの軸を挿入

 このきゃしゃなボディ、「カタパルト」のカクカクした語感よりも、「トレビュシェット」のシュッとした語感のほうがよく似合う。でも本当によく似合う名前はカタパルトでもトレビュシェットでもなくて、「石なげそうち」ではないだろうか。製作中、牛乳パックで造ったロボット状の工作を持った小学生たちが通り過ぎていった。感じたくなかったシンパシーに胸が張り裂けそうだ。


強度の確認(揺らしてみて「ふーん」って思うだけ)
これがテコのてんびん部分

金具でしっかり締め付けます
できた

 素材の弱々しさはいかんともしがたいが、なんかピカピカした金具が付き、大きな可動部分ができたことでちょっとは機械っぽくなってきたではないか。なったよな、な?

 wikipediaの写真とはずいぶんちがうものの、僕の考えたシンプル版トレビュシェット、ここに完成。

 

 

発射準備〜弾丸装填

 トレビュシェットの製造は完了。引き続き発射準備に入る。攻撃開始は日の出と同時に行う。まずはトレビュシェットで城壁を破壊し、突破口が開けたところで騎兵隊が一気に突撃。奇襲で敵がパニック状態のうちに、歩兵部隊が城内を占拠する作戦だ。作戦というか気分だ。ここは公園なので城壁も城もない。

 重りにはペットボトルを使った。あまり重いと、てんびんがポッキリいくか土台部分がつぶれてしまう。ギリギリの妥協点として、今回は1.5リットルを使用。ちなみにいまキャンペーン中で、1リットルの水を買うとユニセフからアフリカに10リットルの飲料水が供給されるそうだ。この記事は3ページありますが、この1.5リットルの水を買ったところが、唯一社会に貢献している部分です。


トレビュシェット、発射準備に入ります!

重り装着完了!


弾丸(匙)準備!

弾丸、装てん!


弾丸装てん完了!発射準備ヨシ!


 はたして僕の怒りを乗せた匙はどこまで飛んでいくのか。そして遠心力の加わったペットボトルの重みに、16ミリのパイプは耐えられるのか!?


3…2…1…発射!


 手を離すと同時にオーバーアクションで逃げる僕。てんびん部分の長さは2m。大ぶりのスイングは間近で見るとかなり迫力がある。


飛距離、2m49cm


 そして肝心の匙。僕の設定では敵の城壁までの距離は8mだったのだが、結果は2m50cm。歩けば4歩くらいの距離だ。えー。

 

 

 
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