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土曜ワイド工場
 
週刊すみましーん Vol.1

悩んだ挙げ句、バッティング屋を始める事にした。路上に例のバッティングマシーンを設置して、道行く人たちにバッティングを楽しんでもらうのだ。


バッティング屋

はじめました。

そう、つげ義晴の「無能の人」である。「無能の人」では河原で石を売っていたが、僕は代々木公園でバッティングの機会を提供する。多くの人が抱いているであろう「打撃欲」を満たしてあげる。それがバッティング屋の仕事だ。


画期的なバッティングマシーン「ジップヒット」

走攻守三拍子揃ったNYヤンキースの遊撃手、ジーター選手のお墨付きである。これを見かけて素通り出来る訳がない。僕だったら絶対打席に立たせてもらう。

それに、路上で何かする事への憧れもあった。若い頃、ジャックケルアックの「路上」を読んで感動したからだ。路上だ、路上で何かしよう。そんな積年の思いが今、バッティング屋として実現した。

嘘です。

ジャックケルアックの「路上」は最後まで読んでいない。
バッティング屋を開いた本当の理由は単純だ。1人ではバッティングマシーンで遊ぶ事が出来ないからだ。

公園でセッティングしてみて気付いた。


適当な棒に片方をくくりつけて

ロープを適当な長さに設定し

両手を開くと

球が走る

想像以上の球速だ。これで練習すれば上手くなるに違いない。凄いぞジップヒット。

しかし、1人では練習にならないのだ。ビュンッビュンッ、と球を投げる事は出来ても、打ち返す事が出来ない。


投げる事しか

出来ない

そこで思いついたのがバッティング屋である。打たせてあげる代わりに投げる側もやってもらって僕も打撃を楽しめる。まさに、ウィンウィンの関係だ。


だから、バッティング屋

路上に座ってお客を待つ。


バッティング

いかがですか?

現実は厳しい。チラッと看板を見てはくれるが、すぐに目をそらされる。僕の前で歩くスピードがあがる。

明らかに避けられているのだ。
巨人帽がいけなかったのだろうか?

このままではバッティング屋が成立しない。

デモだ。
デモンストレーションで客を引きつけよう。




 

 
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