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ロマンの木曜日
 
武蔵水路を歩く

お話としては、すごく地味です

 皆さん、武蔵水路をご存知ですか?

武蔵水路は、利根川の水を引き入れて荒川に流している人工水路です。東京の水道は約半分を利根川に依存していて、そのうちの大部分はこの武蔵水路を通って荒川に運ばれ、そこから浄水場を経由して各家庭に送られています。

そんな、東京の水道の命綱とも言える武蔵水路を、入口から出口までじっくり見学してきました。その見学記録と併せて、「わたしたちの水はどこからくるのか」という、小学校4年生の社会科のおさらいをしたいと思います。

萩原 雅紀



あこがれのダムと武蔵水路

もう25年も前のことなので記憶が曖昧ですが、小学校の3年から4年に上がると、それまでは自分の住む街の周辺がテーマだった社会科の授業の範囲が、一気に自治体とその周辺の地域にまで広がりました。

そのときに僕がとても興味を持ったのは、自分たちの使っている水道がどこから来ているのか、を解説したページ。


こんな感じの図、載ってませんでした?(地図素材提供:CraftMap

僕が生まれ育った東京の練馬区というところは、埼玉県の朝霞浄水場から水が送られていました(いま調べたところ、朝霞だけでなく板橋区の三園浄水場、東村山市の東村山浄水場の水が送られることもあるようです)。

そして、朝霞浄水場に来る水はすぐ側を流れる荒川から取水されていて、その荒川のうち上水道の分は大半が利根川から武蔵水路を通ってきたものでした。利根川を指でなぞってどんどん遡ると、上流に関東地方の水がめとして設置されているいくつかのダムが写真つきで紹介されていて、そのとき僕の中に、ダムというものに対する、ある種のあこがれに近い感情が初めて湧き上がったのを覚えています。

もちろん、そのときはこんな大人になるなんて想像できませんでしたが、考えてみると僕は小4から何も変わっていないようですね。


見学に出発

長年の夢だった武蔵水路の見学。今回は水路を管理している水資源機構のご好意によって、職員の方の解説つきでいろいろなところを見せてもらえるとのことでした。まず案内されたのは、武蔵水路のスタート地点にある利根大堰をコントロールする操作室。


いつも思うけどこのパネルと操作卓がウチにも欲しい

巨大なパネルには利根川とそこから分かれる水路が描かれていて、現在の流量や水門の開度を表すカウンターがたくさん埋め込まれていました。僕が見ていた数分の間にもカウンターは刻々変化しています。リアルタイム、ってだけで興奮できますよね。

水門の位置や水路の配置などを頭に叩き込んだら、管理所の屋上に出て、実際に水門と水路を見てみましょう。


利根川は左から右に流れ、武蔵水路が手前に出てくる 利根川と分かれた水路はまず沈砂池へ

よく見るとさらに水路が分かれている

沈砂池から先は、武蔵水路だけでなく埼玉用水路、見沼代用水路、邑楽(おうら)用水路、それから行田浄水場に向かう水路と、5系統に分かれていました。そりゃパネルもあれだけ巨大化するわけです。

ここからだとよく見えませんが、沈砂池の先、青い橋が架かっているところに倒立ゲートがあって、それぞれの水路の流量をコントロールしているようです。ではさっそく見に行ってみましょう。


というわけで、こんな近くまで来ました 水面下に水門がある
このワイヤーを引いたり延ばしたりして流量を変える ここから先は独立した水路となって流れる

いよいよ、ここから武蔵水路単独の旅が始まります。


水路脇の標識 選ばれし水の約14kmの旅

 

 
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