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ひらめきの月曜日
 
走れメロン
 


 『走れメロス』という小説がある。太宰治の有名な作品だ。中学生の頃だったか、教科書に載っていたのを授業で読んだと思う。(参考:Wikipedia青空文庫)

 主人公・メロスが自分の身代わりとなって囚われた友人を助けるべく、困難を乗り越えながら走り続けて約束を果たす、という物語。内容的には素直に感動だ。

 そして同時に思ったのが、「メロスって、メロンみたいな名前だよな」ということ。

 物語に感動しつつも、頭の中でちらつくのは走るメロンの姿。そんなことを思ったのはたぶん私だけではないだろう。そういうわけで、果物の方を実践してみました。

小野法師丸



●感動と果物とが両立した物語『走れメロス』

  一言で言えば、「メロンを走らせる」という今回の企画。フレーズそのものは意味不明だが、おそらく多くの人が頭の中で描いたことを実現するという点に価値を積極的に見出していきたい。

 そういうわけで、まずはメロンの準備が必要だ。ただ、本物のメロンは丸ごとだと結構な重さがある。どうしようかと思ってやってきたのはホームセンターの装飾品売り場だ。


メロンはあるかな?
あったけど、小さい…

 よくできたイミテーションの果物や野菜がいろいろ置いてある。メロンがあるかと漁ってみたのだが、なぜだか手のひらよりも小さいミニサイズのものしか置いてなかった。

 うーん、これは『走れメロス』の力強いイメージとは異なる。リアルサイズのマスクメロンが欲しいのだが見当たらない。


君にはこれからメロンになってもらう

 仕方がない、自作するしかないだろう。ベースとするために購入したのは、クリスマスの飾り用として売られていた銀の玉。ちょうどマスクメロンくらいの大きさだった。

 これを緑色の紙で包んで、ひび割れ模様を描けば、メロンを作ることができるだろう。


メロンっぽくなったぞと思っていたが、
最終的にはかなりの手作り感

 そういうわけで、いざ製作。途中までいい感じでメロンっぽさを出せていると思っていたのだが、最終的には「まあメロン的なものができたね」という感じの出来映え。

 まあいい。「これ、何に見える?」と訊いたなら、100人中95人くらいが「メロン…?」と答えてくれると思う。ならばそれはもうメロンと言っていいとしよう。

 メロンはできた。ならばこれを走らせる工夫をしなくてはならない。


田宮模型のロボクラフトシリーズ・ラビット
顔としっぽは省略して完成

 走らせるために思い当たったのは、田宮模型が販売している「ロボクラフト」というシリーズ(参考ページ)。動物をモチーフとした、自分で組み立てる電池稼働のメカキットだ。

 ウマやイヌなど、いろいろな動物が出ているこのシリーズ。先のリンクページからそれぞれの動きを動画で確認して、採用したのがラビットタイプだ。一生懸命走っている切実さを一番強く感じたからだ。

 1時間ほどで組み立ては完成。テストで走らせてみた。



 おお、走ってる走ってる。『走れメロス』で主人公はたぶん二本脚で走っていたと思うが、まあ必死な感じが出ているので四足走行でもいいとしてしまおう。

 ではこのメカ部分にメロン部をセットして走らせてみたい。


行け、メロンよ!
あれー?

 …これが意外と難しかった。メカの上にメロンをしっかり固定するのがなかなかうまくいかないのだ。針金やヒモで結びつけても、バランスが悪くすぐに転倒してしまう。

 メロンが走らない。どうしよう。


皮だけを剥いた
だいぶぐだくだになってきました

固い銀の玉がベースになっていることが安定性を悪くしているのだろう。仕方がないので皮を破いて取り除き、それだけをメカにかぶせてみた。

 走らせる前からがっかり感のあふれるビジュアル。まあこれで一生懸命走ってくれればいいのだが。その姿をご覧いただこう。



 …とても走っているとは言えない。友人の命を助けるべく駆ける姿にはとても見えない。

 ズリズリとなんとなく前進する、メロン的な何か。さらにはボディが外れてだらしなく転がる。原作にあった切実な感じがどこにもない。

 これではダメだ。試行錯誤を重ねた結果は、次のページでご覧いただこう。


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