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フェティッシュの火曜日
 
タライでライトを作って「タライト」


プロダクトデザインの展示会に行ったり、その手の雑誌を読んだりすることが多い。家具、オブジェ、照明器具、建築・・・いろいろなデザイン思想を持ついろいろな作家の作品、なにからなにまで面白い。

中でも「照明」には心惹かれる。身近なプロダクトであることはもちろん、「光」をデザインすることは魅力的だし、いっぽうで「電気設備である」という性質がまた、私の興味をそそるのだ。

私もいつか照明器具を作りたい。そんなふうに願っていたある日、ふと あるデザインを思いついた。これなら今の私にもすぐに取りかかれる。その名は、「タライト」。“タライ”で“ライト”を作ってみた。

なぜタライなのか?ダジャレというだけではない。理由は、追って説明する。 

乙幡 啓子



作る前から不安にさせるライト

街はもうクリスマスムード一色だ。その中をデパートへと向かえば、行きかう人々は皆手に手に買い物袋を提げて幸せそうである。

すれ違う私はといえば、クリスマス準備でにぎわう東急ハンズで、こんなお買い物をしていた。


タライ。金(かな)ダライ。

電球やペンダント器具や付属品は、写真のような赤いクリスマス用のバッグに入れてくれた。何か、大切なものを無駄に消費してしまったような気分である。

タライは別の日に買ったのだが、持ち運ぶのは大変だった。直径42cm、これでも小さいほうを選んだのに。で、なぜタライか?まあ待ちなさい。

金ダライ・・・今回照明器具に使わなかったなら、いつかどこかで別の立場同士で出逢うこともあったのだろうか、金ダライよ。


「TARAI」と書けば万国共通の合言葉、か?
それをまた、袋に入れてわっせわっせと持ってきた。ここは・・・。

 

お騒がせ長女が来ましたよ

「タライト」の作り方自体は、とても簡単だ。電球をはめるペンダント器具に吊り金具(下右写真の丸い輪っか)を取り付け、鎖か針金でタライとつないで天井の取り付け口にカチッと差し込むのみ。スイッチを入れればタライ内部に光が反射して、間接照明に・・・なるかどうかはまだやってみないとわからん。で、なぜタライでないといけないのか?まあ待ちなさい。

ただ、肝心の「天井の取り付け口」が、なんと、自宅になかったのである!ガーン!最近、こういう事態によく陥るが、わしゃもうダメか。

仕方が無いので、東武線りょうもう号に飛び乗って、群馬の実家へと向かった。実家にはこのタイプの照明、1つか2つあったはずだ。タライを抱えての泊りがけ帰省、あまりやりたくなかったが、いたしかたない。


実家にて作業開始。ペンダント器具のワッシャーとナットをゆるめて・・・
間に丸い金具を差し入れる。
「しまった、スイッチ紐を下に垂らせない!」ので、キリでガンガン穴あけ。
ここからスイッチ紐を下に出すことに成功。

制作工程を見ていて「あれ?」と気づく方もいらっしゃるだろう。普通、タライのようなものを照明器具にするなら、「タライを伏せた形」になるのでは?と。上の写真では、タライを伏せずにそのまま上向きに引き上げるように作っているからだ。

しかし、それでいいのだ。やっとここらで理由の解説に入ろう。

なぜならそれが、「金ダライ」だからだ。金ダライといえば今や洗濯用品というより罰ゲーム用品。金ダライが上に吊るされて待ち構えており、不運な被罰者の頭上に「ガーン!」と落とされるというあれだ。

・・・説明していてなんだかダレてきた。もういいや、説明。詳しくは次のページを見てもらうことにして、ここではとにかく照明を完成させることに集中しよう、そうしよう。


四隅にも穴を。敷物を忘れたので、ペンチを挟んで台にしております。
開いた穴のバリを、ヤスリでならす。ん、この手は?
その穴に、針金を通す。持ってくるのを忘れたので、実家から借りた。いつもすいません。
先に作っておいたペンダント器具に四隅をくくりつける。ん、この手は?

「お父さん、キリかドライバーってうちにある?」

到着時からタライの存在を家人にいぶかしまれていたが、借りたい道具を父に聞くや、道具と一緒に父が、作業場の和室までついてきた。

「なんかこういうの見るとやりたくなるんさ」

というので、手伝ってもらったというわけなんさ。
作業しながらも、何なんだろう今の状況、父に手伝ってもらってタライト作りか、と娘、大笑い寸前である。


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