デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


フェティッシュの火曜日
 
もしもビルから落ちそうになったら…

ビルのてっぺん気分で

 ビルの屋上からなんらかのミスか陰謀で足を滑らせた場合を想定したぶら下がりに挑戦したい。

 おそらくビルの屋上には登り棒のような棒状のものはない。実際に確かめたことはないが、きっと直角になっていて、掴むような部分は存在しないだろう。

 リアル高層ビルで挑戦してみたいところだが、命綱のような立派な装備はないので適当な高さの直角を探す。

 それで見つけたのがこれ。


まるで小さな高層ビルのようである

 

 電話ボックスだ。見つけた、という程でもないか。そこにあった。

 手を伸ばして立っても、ぎりぎり足が着地しない高さ、屋根の上は立派な直角になっている。実にすばらしい。

 

良い角感

ぶら下がると足も浮く

 

軍手をして挑戦

 はじめは軍手をして挑戦してみた。というのも「電話ボックスの上って汚いかなあ」なんて考えてしまったからだ。


ま、気にするほどでもないのだが

やってみる


 もちろん軍手をして日常生活をしているひとはいないだろうが、この季節なので手袋をしている人は多いだろう。

 手袋をしているときにビルの屋上からうっかり足を滑らせてしまった場合の条件とほぼ同じということになる。軍手と手袋は似ている。

 というわけで挑戦。


手ごたえがない


 滑る。しがみ付こうとしても、するっとすべる。高層ビルだったら真っ逆さまだ。

 たぶんそれまで全く悔いのない人生を送っていたとしても、最後に自分が手袋をしていたことを悔やむだろうと思う。あるいは滑り止めのついた軍手をしていなかったことを悔やむかもしれない。

 ビルから落ちるのが怖い人は冬でも手袋をするのをやめよう。

ビルから落ちかけたとき、偶然軍手をしていた場合= 0秒

 

軍手無しで挑戦

 軍手や手袋はビルの屋上にしがみつく場合に滑ってしまうかもしれないことが分かった。

 では次に素手でやってみることにしよう。

 先ほどと同じように背伸びをして、電話ボックスの屋根部分に指を添えた状態でしがみつく、というか、ぶら下がる。


こんどはちゃんとぶら下がっていられる

けど、きつい



 とてもきつい。

 登り棒のときと違って、握る部分がなくて力が入らない。掴まるのではなくて、ほとんど指の摩擦でがんばってるだけだ。指の中で最も力のある親指も完全に遊んでしまっている状態。

 さらに体が壁にもたれかかってしまい体勢がよくない。登り棒は体がぶらぶら揺れてしまうものの、自由に体勢を整えることができたが、ビルの場合は変な体勢のまま固定されてしまう。ビルというか電話ボックスだが。


うねうねしながらがんばる

 

 ぱさっと着地して、記録は32秒。

 登り棒の時が50秒だったのでおよそ60パーセントの時間。まるで一般論のようにパーセンテージを出していいのか不安だが、棒にしがみつくよりは短い時間になることは間違いないだろう。

 僕の場合もし仮に高層ビルから落ちそうになりつつも、かろうじて角にしがみ付くことができても、残りの寿命は30秒強となりそうだ。

 もし僕がビルの屋上にぶら下がっているのを発見した人は30秒以内に現場に駆けつけていただくことが望ましい。

ビルから落ちかけたとき、偶然しがみ付くことができた場合= 32秒



手がかわいそう、と思う

そして大したことないタイム

 

落ちてからぶら下がる

 指先だけの力でぶら下がり状態になっても、それほど長い時間は持たないことがわかったのだが、ここであることに気がついた。

 さっきから、指先を準備した状態で制止しながら、ぶら下がり初めてしまっている。

 

 フィクションの場合を思い出してみると、屋上なり崖の上なりに立った状態から身長の分だけ落下してそこでガシっと掴まっている。僕が言いたいのは、そこに”勢い”があるということだ。

 その点を考慮する必要があった。

 というわけで再び脚立を持ってきて、少し高い位置から落下しながらつかまってみる。


心構えてやってもできない


 無理だ。

 考えてみれば、自分の身長の高さから自分の体重と同じ重さのモノが落ちてきたのを受け止めるだけの衝撃が、両手の指先に襲い掛かかるのだ。


始めから全てフィクションだったのだ


 異常なまでに指先を鍛えた拳法使いや、伝説の体操選手じゃない限り、この垂直落下の衝撃に指だけで耐えることはできない。

 今後テレビやマンガ、あるいはゲーム等で、ビルや崖でこのような状況に陥る人物がいるのを見かけたら、ものすごい人なのだと思うことにしたい。


ビルから落ちたたとき、偶然指先だけでしがみ付くことができた場合= 無理

崖やビルで足を滑らせないようにしよう

 ちなみに、片手で体を支えるのも無理だった。

 普通に考えたら実現不可能なことが、どうしてフィクションの中ではよく使われるようになったのだろう。それとも普通ならできることが僕にはできないだけなのだろうか。謎は深まるばかりだ。

 どちらにせよ、崖やビルから足を滑らせないように心掛けたい。一度転げ落ちたら掴むものなどどこにもないのだ。

この画像は気に入った


< もどる ▽この記事のトップへ  

 
 
関連記事
カラータイマーは役に立つのか
ぶらさがって背をのばせ
ビルの上から見たビルの屋上たち

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.