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ちしきの金曜日
 
知らない業界インタビュー

業界7:練り製品製造

お名前:山田さん(仮名) (26歳)
お勤め先:ねり製品製造(いまはすでに退職)
この仕事に関わって:3年
ねり製品製造。つまりかまぼこなどを作っているメーカーである。

−−−ねりものを作ってる会社って多いんでしょうか

かまぼこは地域によって原料の魚も味も違うので全国展開しているのは紀文とほか数社しかないんです。ちょっと大きめの会社でも西日本では売ってないとか西日本だけで売っているとか、そういう差があります。

東日本の人と西日本の人に「安いかまぼこといったら?」と聞いてみると出てくる名前が違いますよ。

−−−開発はどんなお仕事だったんでしょうか

新しい製品の調合を作ったり。あ、調合というのは食品業界でレシピのことを言います。すり身と砂糖と塩をどれぐらい、とかそういうのが調合です。

すり身は通常使っているのでも10種類ぐらいあって、冷凍すり身は10キロの板状なんです。すり身に魚の名前が書いてあるわけではないので、袋の色で判別します。この会社のこのグレードは何色、とか憶えなければなりません。

−−−すり身のグレードがあるんですか

グレードはあります。スケソウダラのすり身はスケソウダラって言わないんですよ。「工船」と「陸上」。船の上ですり身にしたものと、とってきて陸上の工場ですり身にしたもので等級が違うんです。

「工船」がいいものです。とれてから鮮度がいいまま加工したものが高級なので。そういうもののほうが色が白くて弾力がありますね。高級魚はほとんど工船です。

−−−できあがりの製品の善し悪しは

かまぼこは弾力、歯切れの良さが重視されます。スパッと切れるのは安物。ぐっと耐えてぷちっといくのが高級です。
どういうのがおいしくていいものなのかを理解するのに半年ぐらいかかりました。

かまぼこに関しては高級なのが美味しいわけではないと思いましたね。食べるほうにも経験が求められるというか、かまぼこの味が分かっている人が楽しむものなのかなと思います。

伊達巻きでも魚くさくて、きっとこれが伝統食品の伊達巻きというものなんだろうなというものが高く売っていたり、洋菓子っぽくてふわっとしているのが安かったりします。


山田さんおすすめのカニカマ(後述)

−−−いくらぐらいのを買えばいいですか?

かまぼこだと1本400円以上のを買うといいです。カニカマは200円ぐらいしたほうがおいしいです。100円のとは全然違いますよ。

年末になると何千円というものも並びますが、1000円あたりのものを食べると美味しいと思います。蒲鉾売り場は年末だけ輝くんですよ。正月に向けて。そのときだけは蒲鉾の値段が全然違うんですが、使ってる材料も全然違います。

年末が出荷のピークになるので、この業界では忘年会をやらずに新年会をやります。

山田さんにおすすめのねり製品を伺った。リンク付き!

・香り箱
・からしマヨしたらば
・白身魚揚げ

ねり製品は沸騰させずに80度で20分煮るのがおすすめだそうですよ。


知ったかぶって人に言いたくなったこと

・すり身の種類には「工船」と「陸上」がある
・レシピを「調合」って言うと通っぽい
・かまぼこは食感が重要
・カニカマは200円のにしておけ

インタビューしているあいだにどんどんかまぼこが食べたくなった。しかし「工船」と「陸上」という無骨な言い方はとてもタラとは思えない。からしマヨしたらばはからしが予想以上にツンときました。



まとめ:ありがとうございました

取材に協力していただいたみなさんありがとうございました。そして7ページ目まで読み進めてくださった皆さんもお疲れさまでした(いきなりこのページを読んだ人はいますぐ目を伏せてください)。

たくさん面白い話を聞いたのに1ページに収めるために載せなかったことも多く、もう1記事ぐらい書けそうな分量がある。

今回協力してくれたかたはみな、インタビュー前はそんなに変わった話はないですよと言っていたが、読んでいただいたとおり意外なことだらけだった。

最近僕が「ウイルスとるフィルターっていくらするか知ってる?」とか「常用漢字って何文字あるか知ってる?」と人に自慢げに話していたのはすべてこれが元ネタです。すいません。


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