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フェティッシュの火曜日
 
鴨汁食って鴨猟見た

油!油!志村、油!


「あーっ!んんまいっ!」

相席のおじいさんに写真を撮らせていただいたのでした

ちょううまい

鴨汁は卒倒しそうなほどうまかった。

野生の鴨は血の匂いが養殖ものより強い気がした。荒々しいうまみだが上品な味だった。あの広大な田を駆け巡った筋肉が肉の弾力と躍動的な旨味に顕れている、とか適当な味の表現を考え続けた結果、さ、寒かったからうまいんだ、という結論に至った。

山頂で食うおにぎりもうまいだろうけど、山頂でステーキ食ったほうがうまいんじゃねーの?そういう味だ。そりゃ鼻水も出るわ。

ちなみに鴨汁を食べると「一年間絶対に風邪をひかない」(実行委員長の話)そうで、真に受けてノーベル賞あげそうになった。


どんなグルメなんだ、どんな

うまい。うまいけど寂しい。一人で、鴨汁を食べに新潟まで来て、しかも死ぬほどうまいとか言っている。グルメだ。今、おれは単なるグルメだ、と思うと孤独がやってきた。

6人席で相席になっていたおじいちゃんに写真を撮らせてもらった。「ああ、いいですよ。」と撮らせてもらった後は、二人とも黙々と鴨汁を食べていた。


しかしなにを喋るでもなく、黙々とかもとねぎを食べる二人

田んぼの中を走り出したくなるときもあるのです。

席にはおじいさんと二人だけだった

ただ二人とも人よりちょっぴりシャイだっただけだ

会場で見かけた「けんさ焼き」(おにぎりに味噌を塗って焼いたもの)についてあれは珍しいものなんですか?と聞くと、「普通ですね。」と答えが返ってきた。うっ。

「東京のどこから来たんですか?」おじいさんはこの辺の人ですか?「東京でもこの祭りは有名なんですか?」毎年このお祭りには来るんですか?

と、シンプルな応答を繰り返してようやく緊張がほぐれてきたところ「容器はあそこで返すんですよ。」とさようならの代わりに豆知識をくれておじいさんはどこかへ行ってしまった。


「そうです、ざんはわです。」緊張のあまり読者の方を撮らずに自分を撮ってもらってしまった。

「もしかしてざんはわさんですか?」

再び孤独に戻ったところに「もしかして…ざんはわ(※そういうサイトを作ってました)さんですか?」と声をかけてくれたご夫婦がいた。あれ!?と思うと、当サイトの熱心な読者の方だそうで、顔を覚えていて声をかけてくれたのだった。

何だか泣いてしまいそうになって、思わず鞄の中を引っかきまわし、中に入っていたラベルに何も書かれてなかったDVDを、多分当サイトで作ったものだろうから、とあげた。「職場の人と見ます!」とうれしそうにしてもらえたが、もしかしたら中は恥ずかしいものだったのかも、いや、何も入ってなかったらそっちの方が悲惨だが、そういうわけのわからないことをした。声をかけられることなんてないのでものすごく緊張したのだ。


やっぱり鴨肉を味わうグルメイベントでした

「食べて、鴨を買って帰るだけのイベントだと思ってたから、取材に来るなんてすごい!」とその方は言ってらっしゃって、ええ、まあ、とか偉そうな顔をしながら心の中では「しまった!」である。モロに「しまった!」した。どちらかというとおもしろよりも肉のイノシン酸の強いイベントに来てしまったのだ。


しかし僕の思うメインイベントはこれからだ。鴨猟の実演である。

この鴨で猟をするのか?生々しいものにならないか?

潟東地区に根付く鴨猟

昔、この辺りに鎧潟という広大な潟があってそこで野生の鴨を散弾銃でとっていた。今は片無双網という仕掛け網。田んぼにおとりの鴨とえさを撒いておびき寄せ、網で一気につかまえる。今日はその鴨猟の実演が見られる。

11月15日〜2月15日までの3ヶ月間が猟の期間。今年は悪天候のため絶不調。今日の鴨汁用の肉もやっとの思いで揃えることができました、ということだった。寒い時期にやるのもそういう理由があったのだろう。ごちそうさまです。おいしかったです。


ちがった、このファンシーな野生の鴨たちが主人公だった!
 
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