鉄道大国日本。特に大都市圏の鉄道移動での容易さは、慣れた人なら快適で、先進国から来た外国人にして、たとえば「東京は世界一移動が便利」とまで言わしめている。
ところが、いろんな鉄道会社がいろんな路線を作ったことから、名称がかぶってしまった路線というのがいくつもできてしまった。たとえば東京は新宿を起点にする「西武新宿線」と「都営新宿線」という「新宿線」がふたつもある。
「新宿線はどこですか?」と聞いたときに「どちらの新宿線でしょうか?」と聞き返されるのだろうか、この耳で確認したい。
(ライスマウンテン)
新宿線はどこですか?
ギネスブックにも載っている世界一のターミナル駅「新宿駅」。新宿では、西武新宿線が「西武新宿駅」を、都営新宿線が「新宿駅」がある。
関東の人ならわかると思うが、西武新宿駅は結構離れていて、西武新宿線を使う人なら、隣の高田馬場駅で乗り換えた方が便利で、それほど離れている。
だとすれば「すみません、新宿線の駅はどこですか?」と聞けば「都営新宿線」を自然と案内してくれそうで、都営新宿線に分がありそうだが、その結果はいかに。
お忙しい中すみません
都会の駅前にはたいてい派出所がある。新宿駅にも例にもれず、駅前に派出所がいくつかある。道を教えてくれる派出所で「すいません、新宿線の駅はどこですか?」と尋ねると...
「すいません、新宿線の駅はどこですか?」 「新宿線?な、なにっ!?」 「新宿線…」 「えっ!?」 「あの、西武新宿線です。」 「それなら、こういってこういくと見えてくるからっ!」
新宿のおまわりさんは、いつも「新宿警察24時」じゃあないだろう、とは思っていたが、世界で最も人が出入りする新宿駅のおまわりさんだけあって、リアルで「新宿警察24時」で忙しそうだ、というかどう見ても忙しい。その勢いに、僕は「西武新宿線です」と言ってしまったが、もし事前に西武か都営(地下鉄)かわからなければ、おまわりさんはゆっくり説明することは難しいかもしれない。
新宿線への道をおまわりさんに聞くのなら、それが西武の新宿線なのか、都営(地下鉄)の新宿線なのか、事前に確認した上で質問しよう。
駅員さんは優しいけれど、先入観で答えてるかも?
だったら別の路線の新宿駅の改札口で、駅員さんに「新宿線の駅はどこですか?」と聞いてみたらどうだろう?
JR線、小田急線、京王線、都営地下鉄線、地下鉄線の新宿駅の有人改札口で「すいません、新宿線の駅はどこですか?」と聞いてみると、ほとんどが新宿線と聞いて迷うことなく、都営新宿線の新宿駅の道順を案内してくれた。
ただ西武新宿線の西武新宿駅に近い、地下鉄丸の内線の新宿駅と、都営大江戸線の新宿西口駅では、都営新宿線ではなく、西武新宿線の西武新宿線を案内してくれた。
丸ノ内線の新宿駅と大江戸線の新宿西口駅は、西武新宿駅の乗換駅で都営新宿線の新宿駅の乗換駅ではないから、そっちを案内するのもナルホド納得なんだけれど。
つまり丸ノ内線の新宿駅で、都営新宿線に乗りたくて「新宿線の駅はどこですか?」と聞くのはNGだ。乗換駅を調べて、その駅までたどり着くのは自己責任ってやつなのだ。
まとめ:「新宿線の駅はどちらですか?」と新宿で聞いた場合
大師線はどこですか?
さて次なる疑問は「大師線はどこですか?」という質問だ。
関東で「大師線」といえば、西新井大師に行く「東武大師線」と、川崎大師に行く「京急大師線」がある。どちらもかなりのローカル線ではあるが、駅員に「大師線へはどうやって行きますか?」と聞いたときに、どう答えるのか検証してみたい。
2つの大師線の共通地点を捜す
東武大師線は東京の東北のほうの足立区を走り、京急大師線は東京の西南隣の川崎市の港のほうを走るので、どこで「大師線はどこですか?」と聞けばいいのか、そこが悩みどころだ。
案の定というか、東武線の北千住駅で「大師線はどこですか?」と聞いたら、「東武大師線は西新井で乗り換えてください」と案内されたし、京急線の品川駅で「大師線はどこですか?」と聞いたら、「京急大師線は京急川崎で乗り換えてください」と案内された。これではいかん。
ところが。そんな2つの離れた大師線を繋ぐ場所があったのだ。
東武線は地下鉄日比谷線と地下鉄半蔵門線が乗り入れていて、一方京急線は都営浅草線が乗り入れている。で、日比谷線ないしは半蔵門線と、浅草線の乗り入れ駅が、東武大師線の方向から「押上駅」「人形町駅」「東銀座駅」の3駅あるのだ。
ああ、東京近辺に住んだことのある人じゃないと、わけわかんないような話でごめん。
押上駅と人形町駅と東銀座駅の3駅の、日比谷線/半蔵門線の改札にいる駅員さんと、浅草線の改札にいる駅員さんに「大師線はこちらでよろしいのでしょうか?」と聞いてみることにした。
面白いほど回答が違ってアラ不思議
まずは最も東武大師線に近い「押上駅」から。押上駅は、東京スカイツリーがそのうちできる未来の旬な場所だ。
「すいません、大師線はこちらでよろしいでしょうか…」
半蔵門線の改札口で駅員さんに聞くと、 「はい。西新井の駅で乗り換えてください」
浅草線の改札口で駅員さんに聞くと、 「反対側の東武線の電車に乗って西新井の駅で乗り換えてください」
おー、さすが西新井に一番近いだけあって、意見が一致するぞ。
次は都心にある、日比谷線と浅草線の乗り換え駅の「人形町駅」だ。東武大師線も京急大師線も同じように遠い。さぁどうだ?
日比谷線の改札口で駅員さんに聞くと、 「はい。西新井の駅で乗り換えてください」
浅草線の改札口で駅員さんに聞くと、 「はい。泉岳寺で京浜急行線に乗り換えて、京急川崎駅で乗り換えてください」
これだよ、これだよ!同じ質問なのに、違う駅員さんに聞いたら違う答えが返ってきた。なんか「してやったり!」って感じで、僕は心の中でクラッカーを鳴らした。
次は東銀座駅で大師線を問おう。
なるほど。ごもっとも。
浅草線の改札口で駅員さんに聞くと、 「えっ!……どちらの大師線ですか?」 「え!?えーと、川崎大師の大師線…」 「それでは次の電車に乗って京急川崎で乗り換えてください」
東銀座の浅草線の駅員さんの一人はちゃんと、どちらの大師線か聞いてくれた。今回検証してみて、割合としては少なかったが、でもどちらの大師線かを聞いてくる駅員さんもいた。すごいや。
まとめ:「大師線はこちらですか?」と聞いた場合