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ひらめきの月曜日
 
逆転の発想からのフライ

 

胃腸の具合がよろしくない方には、胸がやける画像が続くかもしれません。

 先日、とあるパン屋で「丸ごとコロッケ」なる総菜パンを見かけた。パン粉を付けて一度フライにしたものを、再びパンで包んでいるのだ。

コロッケに限らず、フライ物を包んだり挟んだりしたパンは「どれだけパンまみれなんだ!」と言わずにおれない過剰な魅力に溢れている。

しかし、ここでハタと気が付かないだろうか。パン粉は元々パンなのだ。それを再びパンで包むという行為は、はっきり言って二度手間なんじゃないのか?

そうだ。パンさえあれば、フライを作る時の面倒な工程を大幅に省けるかもしれない。

 

高瀬 克子



3つの工程をひとつに

「いったい、なにを言っているのか」とお思いの方もいらっしゃることだろう。ちょっと説明させてください。

フライを作るには卵、小麦粉、パン粉の3つが欠かせないものだが、最初からパンを使えば3つもいらないんじゃないか? …と、こういう提案なわけです。

「必要は発明の母」ならぬ「横着は簡単便利の父」あたりを目指そうじゃないか。


この3つのセットを、
これ1つに出来ないものか。

そもそも、パン粉が食材に接着しやすいように付けるのが卵であり、その卵と食材の間を取り持つ役割を担っているのが小麦粉、という側面もある。

つまり、パン粉という立派な上着を着せるために必要なのが卵と小麦粉なのだ。

よって今回は、食材に下着(卵と小麦粉のことです)を履かせず、じかに上着を着せてやろうという若干変態じみた試みとも言えるわけで、そうなると用意した食パンがまるで毛皮のコートにように見えなくもない。

毛皮を脱がせたらいきなり裸、というフライだ。おいしくないワケがないと思うが、どうだろうか。それとも例えが飛躍しすぎて、おいしくなさそうですか。

書いていて、自分でもちょっと分からなくなってきた。


しかしコロッケって、
工程がいくつあんのよ!ってくらい面倒ですよね。コロッケのくせにね。

まず作るのはコロッケだ。コロッケパンではなく、あくまでコロッケである。

衣としてパンを使うが、これは前述したように「パン粉の代わり」であり、高級な毛皮なのだ。


かなり厚めにカットしたら、
真ん中に切れ込みを入れると、

立派な穴が出現。
ここに詰め物をグイグイと突っ込む。

なんと簡単なことだろう。いつもの「あ、パン粉が散らばった!」だの「小麦粉が床にこぼれた!」だの「手がベタベタになった!」といった騒動とはオサラバだ。このまま揚げたら、もうコロッケ(たぶん)だもの。

最後に、口を閉じるのを忘れてました。


串を通せば簡単…と思ったら、
裏側でパンが裂けてた。具が見えとる。

「あっ」と思ったが、なにも慌てることはない。相手はフカフカのパンなのだから、補修作業も簡単だ。


指でギューッと押されれば簡単にくっつきます。
ほれ、この通り。

「パン粉じゃこうはいかないだろう」と、妙な優越感に浸りながら、ちぎった耳ををモグモグと食べて、準備は完了である。

 

あとは揚げるだけ

ずっしりと重いパン、じゃなかったコロッケを揚げてみよう。中の具には既に火が通っているだけに、高温で短時間に済ませたい。


では行ってこい! 健闘を祈る!
あんまり油を吸いすぎるなよ!

果たしてパンは、パン粉の代わりになってくれたのだろうか。そして出来たものは揚げパンではなく、コロッケなのだろうか。


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