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ひらめきの月曜日
 
おんな村で勝手に興奮する


●そして新しい自分へ

  建物への扉に貼ってあった謎の提唱、「はにかんで引く」。まあ、いいことだと思うし…ということで実践しようとしたのだが、紙が何枚も重ねて貼ってあるのが どうも気になった。

 よし、ここは実際に引く前に紙をめくってみよう。


はにかむの?真顔なの?

だからどれなの?


 「真顔で引く」「活気よく引く」。紙をめくるたびに出てくる、扉を引く際のスタンスに対する提唱。どれもありだと思う分、どうすればいいのか迷う。

 メッセージ性の根幹はともかく、今回は「はにかんで引く」をチョイス。建物の中に入ってみた。


ゴロンゴロンしてます

安藤さんが滝で食べたカニステルもあった


見たことない野菜

その名は「ちんぬく」


 沖縄ならではの農産物が並ぶ店内。ライター・安藤さんが以前に書いた記事で登場したカニステルも初めて見た。

 ここでの興奮ポイントは「ちんぬく」だろうか。コミカルな響きをもった名前だと思う。沖縄らしさ、というものを軽々しく言えるほど沖縄のことを知っているわけではないが、それでもなんとなく沖縄っぽく聞こえる野菜だと思う。

 調べてみると、サトイモのことをこの地では「ちんぬく」とも呼ぶらしい。

 …どうだ、冷静だろう。そう、この時の自分は「ちんぬく!ちんぬく!」という感じではなかったのだ。ちんぬくのことを知りもしないのに、「ああ、ちんぬくね」と、 やや覚めていたのだ。


なんか安い気がする

おいしさが弾けんばかり


 海産物コーナーではムール貝や車エビにウニソースをかけて焼いたものを販売。おお、これはうまそうだ。早速買って、食べてみた。

 これはうまーい! プリップリだー!

 人はおいしいものと出会ったときバカになる第2弾である。そう、おいしい沖縄の食べ物を食べていると、おんなの駅とかちんぬくとかにいちいち反応しているのがバカらしくなってくるのだ。


「おっぱアイスクリーム」と書いてあるのぼり

これもまたうまい!


 別の店で売っていた「おっぱアイスクリーム」なるものも買って食べてみた。これも濃厚でおいしい。この手の施設で食べるソフトクリームは特別なフィルターがかかっておいしく感じられがちだが、それを頭の中で差し引いてもおいしい。

 「おっぱ」なる名前は、沖縄にある「乙羽岳(おっぱだけ)」という山にちなんでつけられたものだそうだ。

 もちろん、のぼりのイラストでも強調されている通り、「おっぱい」を意識しているとも思う。ただ、そういうことを抜きにして純粋においしいのだ。

 そもそもウシのおっぱいをそんなにプリンプリンに描かれても興味はない。そこまで人間墜ちてない。

 そう、あくまで平常心でソフトクリームを食べる自分がそこにいたのだ。

 

さらばおんな村

  古今東西、世に広く知られている物語は、主人公の成長を描くストーリーとなっている場合が多い。

 今回の旅は、そうした目的を意識したわけではないが、「おんな村と聞いて興奮していた自分→おんなの駅とかおっぱアイスとかではしゃがなくなった自分」という変化を冷静に見据えると、偶然にも一致しているということは、客観的な事実として言えることだろう。

 「自分探しの旅」という言葉を使うほど若くはない。それでも、「旅は人間を一回り大きくする」という言葉に頼るとすると、超薄い皮が一枚むけたとは言えるかもしれない。

 実際、おんな村、いや恩納村は素敵なところでした。もしこの記事をご覧の方が訪れることがあれば、邪念なく楽しんでいただければと思う。

 

 
 
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