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土曜ワイド工場
 
ガーナの餅のような料理がうまい
餅といえば鏡餅。もう鏡開きは終わっちゃいましたけどね。


忘年会だ、年賀状作成だ、大掃除の計画しなくてはと慌しかった昨年12月初旬。そんな慌しさから逃避しようとネットを巡っていた際に、とある料理を見つけました。その名は「フフ」。アフリカはガーナ共和国の代表的な料理です。バナナやキャッサバ、ヤム芋などから作られるその料理は、見た目や食べた感じが日本の餅にとてもよく似ているとのこと。

餅好きな私としては是非その「フフ」を食べてみたい。どのぐらい餅に似ているのか?味はどうなのか?出来れば自分で作ってみたい。というわけで、今回はフフを食べて、フフ作りに挑んでみました。フフフッ・・・

吉成



まずは作り方を調べてみる

ということで、まずはフフの作り方を調べてみます。本場では茹でた調理用バナナ(プラテンバナナ)やキャッサバ、ヤム芋などを日本の餅と同じように杵と臼でついて作るらしい。またはそれらを粉状にしたものに熱湯を加え、よく混ぜ合わせて作るのだとか。フフ用の粉というのも売られているようです。割と簡単そうです。

しかし、現物を見たことも食べたこともなく、ネットや本の情報のみなので「らしい」、「ようだ」と推測の域を脱することができません。


こんな感じだろうか・・・きっと旨いはず。

 となると、やはりまずは実際に食べに行くしかないでしょう。しかし、ガーナまで簡単には行けないので都内で食べれるお店を探すことにします。

検索すると都内などでフフを食べられるお店は何件かあるようです。さすが国際都市東京。そのとき、とあるお店を思い出しました。時々食べに行くイタリアンのお店。確かあのお店のマスターはガーナ人だったはず。もしかしてマスターにお願いすればフフが食べられるのではなかろうか。イタリアンの店だけど・・・

 

フフが食べたいです!

ということで、早速マスターに聞いてみます。すると、通常のメニューには無いが何日か前に言ってくれれば作ると快く調理を引き受けて頂けました。しかも、作り方を教えてもらうことや、材料を少し分けてもらうなど無理なお願いも聞いてもらえることに。ありがとうございます。


路地を入ったところにあるカウンターのみの小さなお店です

そしてフフを食べに行ったお店がこちら。
名前は「RESTAURANT DESTINY」。イタリアンのお店。場所は東武東上線で池袋から各駅停車で3つ目。大山駅から歩いて5、6分の細い路地を入った所にお店はあります。こちらでフフを初体験。


マスターのジョニーさん。とても気さくで楽しい方。日本語も凄く上手い。

この方がDESTINYのマスターのジョニーさん。ガーナ出身。この写真だとちょっと怖そうにも見えますが全くそんな事はなく、とても気さくで楽しい方。

そして、この日は妻と友人と3人でお邪魔しました。イレギュラーなメニューを頼むのでなるべく遅い時間にいったのですが、予約していた私たちの席以外は全部埋まっている。流石は隠れた人気店。軽く一杯やりつつフフを待つことに。


お店にはガーナの国旗が飾られています。けどイタリア料理のお店です。

動きが早すぎて写真がうまく撮れません

そうこうしているとお客さんも少し引け、ジョニーさんがフフ作りを開始しました。


鍋の中の物を凄い速さで混ぜるジョニーさん

先ほど書いたように、本場ガーナでは杵と臼でついて作る。しかしここではそんなことは出来ないので今回はヤム芋の粉に熱湯を入れながら混ぜ合わせて作っていました。こちらがそのヤム芋の粉。


オラ!オラ!とかムダ!ムダ!なんて言う漫画ありましたね。

見た感じはただの白い粉です。小麦粉よりかはややきめ細かい感じ。特徴的な香りはあまりありません。


手の動きが早すぎてブレてしまいます。

10分近く激しく混ぜ合わせていたでしょうか。やがてフフが混ぜ上がり成型段階に入りました。一人分の量に切り分けてボールに入れて形を整えています。


おおっ!鏡餅か!

並べられていくその見た目はまさに突きたてのふっくらした餅のようです。にゅーっと伸びてふわっとして、噛むほどに甘みが増していくあの感じ。そこまではと思っていても、そう思わせる見た目です。この時点でかなり期待が高まる。


付け合せのスープも準備完了!

フフは好みのスープにつけて食べるのが一般的で、この日はライトスープという肉や野菜の入ったトマトベースの辛いスープを用意してもらいました。トマトとスパイスの美味しそうな香りが漂ってきます。オクラとナス、肉には通常の牛肉以外にハチノス(牛の胃袋)が使われています。みるだけで旨そう。


へい、お待ち!フフとライトスープのセット!

さあ、お待ちかねのフフが出てきました。どんな味なのか?伸びは?硬さは?餅とはどう違う?確認せねば。

 

いよいよ実食

スプーンやフォークは用意してもらいましたが、ここはやはり現地同様に手で食べましょう。ジョニーさんの話によると、ちぎって丸めて少し潰し、そこへスープをつけて食べる。ちょっとコツがいるようです。


フフとファーストコンタクト!

伸ばしてちぎって

丸めたら・・・

スープへIN!

こんな感じでいいのか悪いのかわからずいよいよ口へと運びます。

パクッとな!

おおっ!こっ、これは!

うまい!

これは旨い。モチッ、フワッとした食感。そこへ鮮烈な辛味とトマトの旨み。そのあとに芋的な炭水化物の甘さがくる。旨い!グイグイといけます。

餅に見た目は似ていますが味は餅とは決定的に違いました。米の味ではなく芋の味。それもサトイモ風の味。サトイモの仲間のヤム芋をを使っているから当然か。

サトイモはサトイモ科サトイモ属でタロイモと総称されるものの一種です。ヤムイモはユリ目ヤマノイモ科ヤマノイモ属の中で芋(塊根)の部分を食べる物の総称です。「サトイモの仲間のヤム芋を使っているから」と記載しましたが、サトイモとヤムイモは同じ仲間とは言えません。訂正させて頂きます。すいません!
けど、サトイモ的な味がしたのです。いずれにしろフフは美味しいですよ!

食感は餅に比べてはるかに柔らかい。モチッとしてますがそれほど伸びはありません。現地では通常これを噛まずに食べるらしく、ガーナの方が餅をフフと思って食べると大変なことになる。そんな感じで噛まずに食べてもなんら問題ない柔らかさ。とても上品につくられたマッシュポテトのようです。

そして、フフそのものもかなりの美味しさなのですが、このスープがとても旨い。やさしくトマトの旨みで入るのにガツンと舌を刺激する辛さが後からきます。しかもその辛さが継続する。これはこのスープにガーナ産のハバネロが入っているから。


ガーナ産の暴君ハバネロタップリ!辛くて当たり前

辛くて甘くて柔らかくて旨い。フフは素晴らしい物が沢山詰まった味でした。

ジョニーさんの話では、このように作るのには結構な力が必要とのこと。ガーナのお母さん達は力持ちが多いそうです。そもそも料理上手というのは母となる条件としてかなり大きなウエイトを占めるとか。ガーナの母強し!

現地では一人前の分量が今回食べたものの倍ほどあるらしい。これを朝食べると夜まで何も食べなくてもいいほど腹持ちがよく力がつく。アフリカの方はこれ以外にもこのような力の付く食べ物を沢山食べているそうです。
凄い!行きたいぞガーナ!行きたいぞアフリカ!


ライトスープとヤム芋の粉。ありがとうございます。

一通り食べきるとジョニーさんが先ほどのライトスープの一部とヤム芋の粉を分けてくれました。これを元に自分でもフフとスープを作ってみます。お次は自作フフに挑戦です。


練って!練って!フフを作れ! >
 

 
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