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ちしきの金曜日
 
花を見に行くことは楽しいのだろうか

うきうきしてるんだけどそれがまったく伝わらない写真
島が見えるってことは僕の島と言っていいのではないか
写真中央に黄色い一角があります(拡大写真は下)

花を通り過ぎて住みたくなってる

伊豆は温度が違った。あたたかい、まではいかないけど寒さが厳しくない。指先が冷たくない。そういえばもうすぐ春だな、と2月があることを忘れるような空気だった。

すでに電車の中で菜の花に対する期待感はじゅうぶん上がっており、歩きながらの話題はどうやったらここに住めるかという点になっていた。海までの道にはお金持ちがリタイアしてから住むような邸宅が並んでいたのだ。住みたい。

宮城さんは最近、とあるバンドのオープニングアクト(前座)でエアギターと手品を頼まれたそうである。

もちろん手品の経験はない。でもエアギターだけじゃなくてマジックショーもできるようになれば(エアギターのあいだに火を飛ばすらしい)、それだけで食べていけるようになって、ここでの暮らしも現実のものになると超ポジティブシンキングであった。

そのイベント告知を見たら「イリュージョンマリオ」とクレジットされていた。イリュージョンマリオが海が見える邸宅への第一歩になるといいなと思う。

 

内なるおじいさんが目を覚ました

坂道を下ると海が見えた。海に突き出している崖の上に黄色い一角が見える。

「あれ菜の花じゃないですか。」 「どこどこ?」 「ほら、あそこ 」
「あ、ほんとだ。黄色い!」 「黄色い」

3人でうっかり興奮してしまった。彩度の低い景色のなか、菜の花の黄色が目立つ。

正直言うとここまでは記事にもなるので『花が楽しみな3人』を無意識に演じていたところもあったのだが、ここで本物になった。花を愛でるじじいデビューの瞬間である。

正義のヒーローが自分の隠された力に目覚める第1回みたいなところだろうか。内なるじじい力が目を覚ました。

さて、わしらも公園に入って菜の花をより近くで見るとしますかな。

あれが僕らがめざしていた菜の花だ

「宮城どの!花ですぞ」「むふふ」

次のページはもうピントとかどうでもよくなった菜の花の世界です

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